西川忠志“真面目で暴走”新喜劇で見つけた居場所 入団直後に先輩座長から「何も変えることはない」の意味

 吉本新喜劇の西川忠志(56)がこのほど、大阪市内でよろず~ニュースの取材に応じた。大学在学中の19歳から本格的に役者の道へ進み、20年以上の俳優生活を経て2009年に新喜劇に入団して15年。6月16日には大阪・なんばグランド花月で「西川忠志 吉本新喜劇入団15周年記念公演 感謝」が開催される。新喜劇に対する思い、これからの目標などを語った。

 10歳の時の夏休みに東京の芝居好きの知り合いに連れて行ってもらった大竹しのぶ主演ミュージカル「にんじん」を見て感動、役者になることを決意した。当初は反対していた父・西川きよしと吉本新喜劇の元女優の母・ヘレンも熱意に打たれて応援してくれるようになり、大学在学中に都内のプロダクションから役者デビュー。森繁久弥、森光子、杉村春子、山田五十鈴、藤山直美ら大物俳優と舞台に立ちながら、喜劇に対する思いが日増しに強くなり、吉本新喜劇が頭に浮かんだ。

 父の橋渡しと自身の思いが通じ入団。最初に当時座長の内場勝則からもらったアドバイスが強く印象に残っている。「喜劇だからコメディーだから面白いことをしようと思ったら大間違いですよ。忠志君はなぜ入ってきて、入ることに許しをもらえたか。それはここまでの何十年、あなたが芝居を積み上げてきたからです。だから、何も変えることはないし、今までやってきたことを出して行きなさいと」と振り返った。とはいえ、新喜劇は笑いの集団。舞台では笑いを取ることしか頭になく、空回りすることが多かった。

 それでも、場数を踏んでいくうちに内場の言葉の意味が分かってきた。「何かをわざわざするのではなく、喜劇の台本がここにあるんですから。ギャグを持ってらっしゃる方はギャグで笑わせます。ギャグもない僕がやるのは、台本に今まで通り忠実にやること。結局それが一番お客さまに通じ、お客さまは自然と笑みを浮かべて、舞台もすっと流れていくもんなんですね」。新喜劇の本質が見えてきた。

 アドリブでのやりとりも幅が広がった。「その忠実にやる中で、時折、新喜劇にはアドリブもある。(相手から)アドリブを言われた時にも、自分がその瞬間に思ったことを僕として真面目に返す、すると相手から出てくる突っ込みは『真面目か!』で、それでお客さまが笑ってくださる。だんだんと舞台上でキャッチボールができるようになり、真面目が故での『何でそれがダメなんですか!』『当たり前じゃないですか!』と、真面目が故での暴走というか、自分の言葉がどんどん出始めたんですね」。“真面目で暴走する”キャラクターが完成し出番も増えてきた。

 あるとき、タレントの千原せいじから言葉をかけられたという。「忠志君、あんた、この席をよう見つけたなあと。いろんな役者、芸人さんがいる中で、誰の席も奪わず、誰をかき分けるじゃなしに、真面目という席があって、そこに座ったんやなと。こんな席もあるねんなって、そういう意味合いのことをおっしゃってくださって。その席、ええでと」。自然と自分の居場所ができあがった。

 父からは「観客の目線も持ち合わせてくれて、これは良かった、あれはアカンというアドバイスはくれます」と芸能の先輩としての忠告を素直に受け入れている。ただ、「どこの親御さんもと言ったら分かりませんが、常に心配していますね。仕事によって違うのかも知れませんが、本当に芸能界はきょう仕事があって、あしたは仕事がない世界ですので」と、いつまでも息子を心配する姿に苦笑いだった。

 これからの目標は新喜劇の第一線で活躍を続けること。「常に必要とされる座員であるためにも、1回1回の舞台上にいる一人の役者として精いっぱいやり切る、そしていい作品を作るための一コマになれるように、自分自身を常に磨くことが大切ですね。そうしないと、結局、食いっぱぐれます」。日々精進を続けながら、客席に笑いを届けていく。

 ◆西川忠志(にしかわ・ただし)1968年4月20日生まれ、大阪府出身。タレント・西川きよしと元吉本新喜劇女優の西川ヘレンの長男。玉川大学在学中の1987年にアクターズエージェンシーから俳優デビュー。2009年に吉本新喜劇に入団。新喜劇だけでなくドラマなど幅広く活躍中。

(よろず~ニュース・中江 寿)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

サブカル系最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(芸能)

    話題の写真ランキング

    デイリーおすすめアイテム

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス