松井18K!センバツ覇者浦和学院27人斬り

 「高校野球練習試合、桐光学園7‐0浦和学院」(1日、浦和学院グラウンド)

 今秋ドラフトの目玉、桐光学園(神奈川)の松井裕樹投手(3年)が、今春センバツ王者を圧倒した。1日、さいたま市内で行われた浦和学院(埼玉)との練習試合で先発し、毎回の18三振を奪い、1安打で無四球完封した。打者27人を108球で終える快投で、14日に予定される神奈川大会初戦へ、最高の弾みをつけた。

 もう、相手がどこであろうが関係ない。アクセル全開の松井には、敵はいないのかもしれない。今春のセンバツと関東大会を制して公式戦14連勝中、甲子園春夏連覇を目指す浦和学院でも“ドクターK”にはまったく歯が立たなかった。

 夏の県大会前の最終チェックと言える一戦。センバツ決勝で152キロ右腕・安楽擁する済美から17得点した時と同じスタメンで臨んだ王者に対し、松井は立ち上がりから快調に飛ばした。初回1死からスライダーで連続の見逃し三振。四回2死から3番・山根に左前打を浴びるまで、1人の走者も許さない。山根は直後に盗塁死したが、これが最後の走者になった。

 直球は自己最速に並ぶ147キロを記録。宝刀・スライダーは変化に差をつけ、チェンジアップも低めにキッチリと集まるのだから、打者はたまらない。センバツで3試合連続弾の高田からも2奪三振。内角低めへのスライダーで空を切らせた。七回1死から九回2死までは圧巻の7連続K。結局、打者27人で試合を終わらせた。

 自身の目標である全国制覇を達成した相手に、試合前から気合十分だった。グラウンド脇の食堂で待機中には、チームメートと会話しながら肩を回すようなしぐさで、登板が待ちきれない様子を見せていたという。一方で、試合中は時折マウンド上で笑みをこぼし、1年生捕手の田中を引っ張った。打っても、二回無死二塁から先制の左前適時打を含む2安打で5番の役割を果たした。

 視察した6球団14人のスカウトからもため息がもれた。DeNAの稲嶺スカウトは「楽しんで投げている感じ。練習で追い込んでいる中、ベストピッチといえる状態」と評価。阪神の菊地スカウトも「直球と同じ腕の振りでスライダーとチェンジアップがあったら打てない」とうなった。

 野呂雅之監督(52)は「調子プラス涼しい環境もよかった。6月からいろいろ試している配球も確認できた」と満足げ。県大会初戦まで「これからは休養と栄養をとることが一番のトレーニング」と、チームの仕上がりにも自信を見せた。

 今年1月、松井は「世界一の左腕になる」と目標を掲げ「誰にも負けたくないんです」と、真意を説明した。春の王者を圧倒し、高校球界では“日本一の左腕”であることを実証。勝負の夏がいよいよ始まる。

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