仙さん、元楽天・渡辺への大拍手に怒り
「楽天4‐3西武」(12日、K宮城)
相手の渡辺の痛烈な右翼線二塁打が、この日最も沸いた瞬間だった。楽天・星野監督は怒りが収まらなかった。「(チームは)十二回まで頑張ってるのに。直人が出て来ると大拍手。(楽天が)負けてもいいんだろ」。一丸となって、2度のビハインドを追いついた。2010年まで在籍した選手の活躍とはいえ、ナインの奮闘がかき消されてしまった光景が我慢ならなかった。
防御率リーグ2位の菊池から3得点を奪い、延長で2回を無失点に抑えた43歳の斎藤の投球と選手は意地を見せた。「もったいないね」。痛恨だったのは主砲のジョーンズ。十二回無死一塁で、フルカウントから見逃し三振。ここまでリーグトップの60四球と徹底的に見極めるスタイルだが「歩こう歩こうとしちゃってる。ファーストストライクから振っていかないと」と、苦言を呈した。
今季チーム最長の4時間44分の試合。星野監督が楽天の指揮官に就任し、約1カ月後に横浜(現DeNA)へのトレード移籍となった渡辺が決勝のホームを踏んだ。球団主導による突然のトレード劇。だからこそ、依然として東北で高い人気を誇る。西武ではこの日1軍登録され、初打席が値千金の一打だった。
渡辺への声援は当然だろう。だが星野楽天は貯金11で、首位をひた走っている。ならばファンが願うのは、目の前の勝利ではないのか。闘将は最後に「ホンマ腹立つ」と吐き捨てた。その姿は怒りというよりどこかさみしそうだった。