崇徳サヨナラ劇勝 開幕延長13回広商下す

 「高校野球・広島大会1回戦、崇徳4‐3広島商」(12日、マツダ)

 開幕戦が行われ、崇徳が広島商にサヨナラ勝ちした。延長十三回2死二塁で原亮太外野手(3年)が、サヨナラの左前適時打を放った。昨秋の王者は今春、3回戦で新庄に0‐12でコールド負け。大敗で自分たちを見つめ直し、結束力を強めた。2回戦は今春覇者・瀬戸内(17日、コカ・コーラウエスト)と対戦する。

 太陽が西に傾き、影が伸びる中、崇徳ナインが一斉に本塁付近に駆け寄った。3時間20分、延長十三回まで達した広島商との伝統校対決をサヨナラ勝利で飾った。全力を尽くし手にした開幕星に、疲れは吹っ飛んだ。

 3‐3で迎えた延長十三回2死二塁。原が左打席に立った。ウィルソンが投じたカウント2ストイラクからの直球をコンパクトにスイング。逆らわず左前に運んだ。「来た球を思い切り振ろうと思った。うれしいという言葉以外に何もない」。自身初のサヨナラ打に最高の笑顔がはじけた。

 粘り強さを発揮した。初回に2点を先制。しかし、四回に1点を返され六回に逆転を許した。それでも慌てるそぶりはなかった。「2点差までなら大丈夫という気持ちがあった」と主将の野村颯一郎内野手(3年)。劣勢に立たされても自分を見失うことはなかった。過去、広島商とは夏の県大会で11度対戦し広島商が9勝。崇徳は2勝止まりだ。15年ぶり、12度目の対決で挙げた3勝目は劇的勝利となった。

 一つの敗戦がチームを変えた。今春、新庄に0‐12でコールド負けを喫した試合だ。昨秋に広島王者となり中国大会に挑んだが、広陵に敗れセンバツ出場を逃した。聖地への道が途絶えてもチームの雰囲気は「悔しいというより秋に優勝してお腹いっぱいという感じだった」と藤本誠監督(33)は振り返った。

 慢心がもたらした大敗に、ナインは頭を五厘刈りにした。さらに1週間、練習せずにミーティングを重ねた。「自分たちの足元を見つめ直した」と野村颯主将。王者になる前の、挑戦者の気持ちを思い出した。

 2回戦は最速146キロの直球が武器でプロ注目右腕の山岡泰輔投手(3年)を擁する今春王者の瀬戸内と対戦する。野村颯主将は「目標は甲子園。勝つ」と気持ちを引き締めた。熱戦を制し、深めた自信は大きな力となる。どんな投手が相手でも、チーム一丸で乗りこえてみせる。

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