聖隷C鈴木翔11K完投 全12球団が集結
「高校野球静岡大会・2回戦、聖隷クリストファー6‐3飛龍」(21日、愛鷹)
聖隷クリストファーが3回戦進出を決めた。今秋ドラフト候補右腕の鈴木翔太投手(3年)が11奪三振で3失点完投。NPB12球団のスカウトの前で実力をアピールした。
勝負どころでは、流れは絶対に渡さなかった。同点の七回2死三塁。スライダーで10個目の三振を奪うと、聖隷クリストファー・鈴木翔がほえた。「打たれたら終わり。ピンチは三振を狙っていた」。毎回走者を許しながら、四回から八回まで3アウト目はすべて三振で締めてみせた。
183センチのスラリとした体形。しなやかな腕の振りから繰り出される伸びのある直球が最大の武器だ。この日は最速141キロを記録。先頭打者弾を浴びるなど制球がバラつき、8安打5四死球という内容に「60点ぐらいだった」と自己採点したが、ピンチでは一段ギアを上げてみせた。
ネット裏にはNPB12球団のスカウト30人超が集結。部長クラスも顔をそろえた。4人態勢で視察した阪神の北村スカウトは「球速以上に見える。バランスがいいお手本のようなフォーム」と賛辞を惜しまなかった。
そんな熱気にも鈴木翔は「スカウト?見えていました。集中しているけど、周りは見えているんで」とサラリ。鈴木洋佑監督も「精神的に強い。ピンチの方が強さを持っている」と舌を巻くハートも大きな魅力だ。
昨夏県大会は27回連続無失点をマーク。今春に右肘痛を発症し調子を落としていたが、復活を証明した。七回には自ら決勝の中前適時打を放ち、投打に渡る活躍でシード校を撃破。「1つのヤマ場を越えられた。コンディションはまだまだ上がってくる」と手応えは十分。「将来は球界を代表する投手になりたい」という野望に近づくべく、まずは同校初の聖地を目指す。