桐光・松井号泣、進路は「まだ何も…」

 「高校野球神奈川大会・準々決勝、横浜3-2桐光学園」(25日、横浜)

 神奈川大会では昨年優勝の桐光学園が横浜に敗れ、2年連続の甲子園出場を逃した。今秋ドラフトの目玉、松井裕樹投手(3年)は2本塁打を浴びて、8回8安打3失点で完投負け。自己最速を2キロ更新する149キロを計測し、10三振を奪ったが、力投は実らなかった。怪物のラストサマーは地方大会で幕を閉じた。

 早すぎる夏の終わりに、涙をこらえられなかった。試合後のあいさつを終えてベンチ前に戻った桐光学園・松井は、右手で目を覆い、むせび泣いた。「入学した時から3年の夏を目指してやってきた。そこで負けてしまって悔しい」。何度も大きな息をつきながら、言葉を絞り出した。

 昨年と同じ7月25日、同じ準々決勝で宿敵・横浜と雌雄を決した。初回にいきなり自己最速を1キロ更新する148キロをマーク。五回には数字を149キロまで伸ばしたように、球の走りは「悪くなかった」と振り返ったが、わずかなほころびが致命傷になった。四回無死では、相手の4番・高浜に初球の抜けたチェンジアップをバックスクリーンへ運ばれ同点。七回に味方の本塁打で勝ち越したが、その裏に今度は3番・浅間に直球を右翼席にたたき込まれた。

 「悔い?ホームランの2球。失投しなければいいと思っていたが、打たれたのは自分の失投」と肩を落とした。八回は宝刀のスライダーで3者連続三振。2桁の10奪三振に乗せて意地を見せたが、負けては意味がない。逆転被弾の直前には、内野飛球を味方がお見合いして走者を背負っていた(記録は安打)。それでも「自分の実力がなかった」と、責任を背負い込んだ。

 どうしても、仲間と甲子園に戻りたかった。強化合宿期間最後の夜となった6月30日。3年生だけのミーティングは熱を帯び、涙を流しながら全員が決意を口にした。松井は「とにかく13連勝する」と、日本一への思いを繰り返した。昨夏は白血病で療養中だった小国颯外野手を初めて甲子園に連れて行くという誓いも果たせず、「申し訳ない」と唇をかみしめた。

 昨夏甲子園での大ブレークから1年。人生が変わった高校野球生活を終えた。「いい仲間、いい指導者、いい後輩に恵まれた。本当にみんなに感謝したい」と話すと、また泣いた。進路については「まだ何も考えていない」と話すにとどめたが、プロ志望届の提出は確実とみられる。目標は『世界一の左腕』。またスポットライトを浴びる日まで、“ドクターK”はしばしの休息に入る。

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