マー君「ヤバい」サヨナラで開幕14連勝

 「楽天3‐2ロッテ」(26日、K宮城)

 誰も止められない。楽天のエース田中将大投手(24)が26日、ロッテ(11)戦で9回2失点完投で開幕から無傷の14連勝。1点ビハインドと、敗色濃厚の九回に、味方が逆転しての劇的サヨナラ勝利。99年のダイエー・篠原(現DeNA)が中継ぎとして記録した歴代2位の数字に並んだ。また昨年8月26日からの連勝も18に伸ばした。

 何かが起こる。そんな雰囲気が、球場に充満していた。九回1死満塁、嶋が左中間へサヨナラ打。延長十回も投げるために準備していた田中の笑顔がはじけた。もみくちゃにされる嶋に、遅れて抱きついた。止まりかけた記録が伸びた。

 女房役の嶋と上がったお立ち台。不敗神話について聞かれると「ヤバいですね」と言った。これまで、自身の記録にはさほど触れたがらなかった。この劇的勝利は、さすがに興奮を隠しきれなかった。

 9回2失点。立派な内容に見えるが、今季の田中からいえば、らしくない内容だった。鈴木、井口にそれぞれ初球を打たれて本塁打。2失点以上は、5月28日の阪神戦以来、約2カ月ぶりだった。「両方、初球。初球で長打を打たれるのはやっちゃいけないこと。そこは本当に反省しないといけない」と振り返った。

 これで斉藤和巳(現ソフトバンクリハビリ担当コーチ)らの持つ開幕15連勝にあと1つとなった。開幕から1つも負けないでシーズンを終える投手なんていない。と、思いきや、星野監督は簡単に言ってのけた。「田中はいくやろ。80%くらいな」。十分に達成可能と見ている。だからこそ、この試合後も「2本も本塁打打たれて、両方とも初球じゃ…」と、賛辞よりも課題を挙げた。

 サヨナラで舞い込んできた1勝。田中は「九回まで1‐2で、その中でも逆転してもらった。意識するところはないわけじゃないけど、もう怖いものはない。1回死んでると思って、また次しっかりとやっていきたい」と、この1勝の重みをかみしめた。

 まさに神懸かりの連勝記録。だが星野監督は「神懸かってないよ。実力。神様はまだ、遠いよ」と笑った。本人の言葉通り、死にかけた状態からの復活。神の子といわれた男は、さらに次の高みを目指す。

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