大阪桐蔭・森友、有言実行バースデー弾
「全国高校野球・1回戦、大阪桐蔭10-2日本文理」(8日、甲子園)
甲子園球場で熱戦が開幕。開会式と1回戦3試合が行われた。第2試合では今秋ドラフト候補、大阪桐蔭の森友哉捕手(3年)が二回と四回に今大会第1号、第3号の2打席連続本塁打を放った。この日、甲子園で観戦した松井秀喜氏らの4本を超える甲子園春夏通算5本。“予告バースデーアーチ”で史上7校目の夏連覇へスタートを切った。
自慢のバットが、18歳の夏に華々しい祝砲を上げた。大阪桐蔭・森友は二回の第2打席、2死走者なしから3球目を左翼ポール際へ。白球は浜風にあおられ、スタンドに吸い込まれた。四回の第3打席にも2死走者なしから鋭いライナー性の本塁打を右中間スタンドへ。「2本とも、入ると思わなかった。2本目は逆風だったが、しっかりスイングできた」と史上27人目、29度目の2打席連発に頬を紅潮させた。
誕生日の大当たりを自ら予告していた。前日の開会式リハーサル後「展開次第で一発も狙いたい」と話していた。この日の試合前も、チームメートの前で「オレ誕生日やから、バースデーアーチ打つで」とはしゃぎ、開幕日の緊張を解いた。
新2年生で甲子園デビューした昨春のセンバツから本塁打を放ち、今大会は第1号に名を刻んだ。「調子はよくなかったが、甲子園だと打てる気がする」。春夏通算5本は、同校OBの中田翔(現日本ハム)、元星稜で、この日甲子園で試合を観戦した松井秀喜さんの4本を超え4位タイ。“甲子園の申し子”と呼ばれるスラッガーに肩を並べた。
聖地の大観衆が力を与えてくれた。大阪大会は打率4割をマークしたが、満足の打撃はできていなかった。前日の練習では太ももの間にボールを挟んだ格好でティー打撃を行い、軸で回転する形を確認。「ここ数日の練習でも調子はよくなかった。正直、不安でしたが、4度も甲子園に出ているので堂々と打とうと思った」と、プレッシャーを力に変えた。
幼少時から甲子園が憧れの舞台。母・由美さん(44)らに「将来は野球選手になる。甲子園へ見に来て」と話すなど、聖地での活躍を宣言していた。チームメートも森友の有言実行ぶりを「責任を感じて、苦しい練習をしているので打つと思っていた」と信頼している。「18年間で一番の誕生日」と語る森友の顔からは、苦悩の色は消えていた。