丸亀、初戦敗退もナインに悔いなし

 「全国高校野球・2回戦、横浜7‐1丸亀」(13日、甲子園)

 13年ぶり4度目出場の丸亀は1‐7で横浜に敗れ、初戦敗退となった。エース左腕・宮崎耕大投手(3年)は粘り強く投げたが、五回に相手4番打者に3ラン本塁打を浴びるなど12安打7失点。1番・車谷康太主将(3年)が引っ張る打線は、九回に1点を返すのがやっとだった。8強入りした1990年以来、23年ぶりの勝利はならなかったが、アルプスに詰めかけた大応援団は、ナインの全力プレーに割れんばかりの拍手を送った。

 全力を尽くした丸亀ナインに、アルプスの大応援団から温かい拍手が降り注ぐ。完敗だった。5度の全国制覇を誇る横浜の壁は、やはり厚かった。「相手の力が上回っていた。でも選手たちは粘りを見せてくれた。それがうれしい」。山本雄一郎監督(35)は、涙を浮かべるナインにやさしい視線を向けた。

 聖地独特の雰囲気にのまれた。4万6000人の視線が集まるしゃく熱のマウンドで、エース・宮崎は「体が動かず、力が出なかった。心に余裕がなかった」と振り返る。

 三回に4連打で3点を先制されると、五回には横浜の主砲・高浜に左翼席へ3ランを浴びた。3年間かけて磨き上げた内角直球を運ばれ、「力負けです」と唇をかんだ。

 打線も本来の力を発揮できなかった。8安打を放ったものの、つながりを欠いた。相手エース・伊藤の鋭い変化球に手を焼き、毎回の14三振。2度の送りバント失敗も響いた。九回に1点を返す意地を見せたが、香川大会5試合で39得点の爆発力は不発に終わった。

 それでも悔いはない。「甲子園は楽しかった」と車谷主将は笑った。県内屈指の進学校で、短い練習時間の中、効率的な練習方法で聖地切符をつかんだ。ナインは甲子園入りした4日以降も、宿舎に教科書や参考書を持ち込み受験勉強に励んだ。23年ぶりの勝利はつかめなかったが、文武両道の理想を実践した充実の10日間だった。

 「最後まであきらめないこと。ここでの経験を忘れずにいたい」と宮崎。将来の夢は「航空自衛隊のパイロット」。母方の親せきに元防衛庁幹部の宮下裕氏(元善通寺市長)がおり、同じ道を目指して卒業後は防衛大への進学を希望している。

 車谷主将は「教師」。2番・門田は「野球の指導者」。聖地を去った14人の3年生部員は、「1勝」の目標を後輩に託し、それぞれが思い描く次のステージに向かって走りだす。

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