彦根東・辻、甲子園宿舎で全国模試受験

 「全国高校野球・2回戦、花巻東9‐5彦根東」(13日、甲子園)

 弟の気持ちを背負い、彦根東・辻天薫内野手(3年)は夢舞台でプレーした。しかし3打数無安打の結果に「自分のバッティングができなかったのが悔しい」と唇をかんだ。

 守備でも三回、悔やまれるプレーがあった。1死一塁からの三ゴロで一塁走者を二塁封殺したが、二塁手の辻は2死と勘違いして一塁送球せず、併殺を取り損ねた。続く二塁打で一塁走者がかえり失点。「初めてのミス。声援や雰囲気にのまれ、仲間の声も聞こえなかった」と肩を落とした。

 弟・心薫(もとまさ)は履正社の2年生内野手。今春センバツに出場したが、プレーする機会はなく初戦敗退。滋賀大会優勝の翌日、弟から「最後の高校野球だし、オレの分も頑張れ」というメールが来た。春に聖地を踏んだ弟は、大阪大会決勝で大阪桐蔭に敗れ、春夏連続出場を逃していた。

 1歳違いの兄弟は、父・正人さん(45)が監督を務めるチームで、幼少時から競うように練習した。強打者で強豪私学を目指す弟に対して、辻は「野球では弟に負けている。僕は勉強と両立で甲子園へ行く」と彦根東へ。神戸大を志望し、毎日午後8時までの練習の後、塾で同10時まで勉強。甲子園入り後も宿舎で全国統一模試を受けた。

 聖地は兄弟にほろ苦い思い出を残した。だが「文武両道で甲子園に出られてよかった。弟には来年、僕の分も甲子園を楽しんでほしい」。今度は兄から弟へ、夢が託された。

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