宮本「悔いない」将来の現場復帰に意欲
ヤクルトで3度の日本一に貢献し、日本代表の主将も務めた宮本慎也内野手(42)が26日、都内の球団事務所で記者会見し、今季限りでの現役引退を正式に表明した。“一流の脇役”として球界をけん引し続けたベテランは、19年間のプロ野球人生を振り返るとともに、将来的な指導者への意欲を口にした。
紺のスーツに紫のネクタイ、エンジのハンカチ。母校・PL学園、同大、社会人時代の古巣・プリンスホテルのユニホームに彩られたそれぞれのカラーを身につけ、宮本は毅然(きぜん)とした面立ちで会見場に表れた。野球人生の節目の席。「今季限りで、19年間の現役生活を引退することを決断しました」と切り出した。
球宴期間中、小川監督に引退の意思を伝えた。若手中心の起用に転換せざるを得ないチーム状況の中、出場機会は減少。今季を集大成と位置づけてはいたが「守りから試合に出ていた人間なんで、守りに就けない、レギュラーで出られない、というのは、引く時かなと感じた」と明かした。後進へ道を譲る決意を、静かに固めていた。
薫陶を受けた野村克也元監督の言う“一流の脇役”を体現した19年間だった。「そういう選手にならないと、プロでは生きていけないと思った」。鉄壁の守備でレギュラーをつかみ、3度の日本一に貢献。名球会入りも果たした。「僕自身よくやったと思ってます。もう1回優勝したかったけど、個人的には悔いはない」。泥くさく努力を重ねた自負がそこにあった。
引退後はネット裏から野球を勉強する。将来的な指導者としての現場復帰にも「『戻りたい』じゃなく、『戻ってきてくれ』と言われるようにしっかり勉強したい」と意欲を見せた。その前にまず、わずかに望みを残すCS進出へ「力を合わせて頑張りたい」と宮本。ベテランの最後の力が、チームに不可欠なピースとなる。