桐光・松井12K!堂々世界デビュー
「18U・W杯1次ラウンドA組、日本4-1台湾」(1日、台中)
18歳以下ワールドカップの予選1次ラウンドが開幕し、A組の日本は開催国の台湾に4‐1で快勝した。先発した桐光学園・松井裕樹投手(3年)は、初の国際大会で制球などに苦しむ場面も見られたが、8回を3安打1失点12奪三振の内容で、チームを白星発進に導いた。大会は1次ラウンド各組上位3チームが2次ラウンドに進出する。
すべてをのみ込んで結果を出した。初めての国際大会、2日連続の雨天順延、完全アウェーの開催国との初戦…。それでも、松井は松井だった。勝利を呼ぶ粘投で12奪三振。「調子はよくなかったけど、最低限の仕事はできた」。エースの重責を果たし、安どの表情で自己評価した。
さまざまな“敵”がいた。試合前の投球練習後、球審からロジンバッグの粉をユニホームで拭かないようにいきなり注意された。際どいコースをボールと判定され、四球が増えた。それでも五回まで無安打投球を続けた。
2点リードの六回にはアウェーの洗礼もあった。1死一、二塁から4番・楊家維が左翼ポール際への特大ファウル。判定に納得しない台湾側は、首脳陣がベンチを飛び出して球審に抗議し、試合は一時中断した。2人の走者と打者もダイヤモンドを回ってホームを踏みアピール。客席からはホームランの判定を求める大合唱まで起こった。
それでも松井は「打球が切れたのは見えていた。(判定の変更は)『まさかないだろう』と」と冷静だった。物々しいムードが残る試合再開直後も三ゴロで2死とし、続く打者は直球で空振り三振。地元の大声援にも「神奈川の応援を経験しているので、気にはならなかった」と、揺るがずにピンチを切り抜けた。
日米15球団以上が視察した”世界デビュー”で見せた実力を、メジャースカウトも評価した。タイガースのムーアスカウトは「好きな投手だ。直球とスライダーのブレーキがいい」と話し、オリオールズのウォード国際スカウトは「スライダーとチェンジアップが素晴らしい。日本では1巡目だろ?成功すると思うよ」とうなずいた。
八回に1点を失ったが、一打逆転の2死満塁では、3ボールからすべて直球で空振り三振。貴重な白星発進をもたらした左腕に、西谷浩一監督(43)も「粘っこくバッテリーで試合をつくってくれたのが勝因」とたたえた。国際大会の難しさを「いろいろありますね。この経験を投手陣に伝えたい」と話した松井。日本を引っ張るのは、やはりこの男しかいない。