強いわ…原巨人連覇!ミスター超えV6
「巨人2-1広島」(22日、東京ド)
巨人は22日、2年連続35度目(1リーグ時代を含め44度目)のリーグ優勝が決まった。デーゲームで2位阪神がヤクルトに敗れて優勝が決定。ナイターで広島に競り勝ち、2007年から3連覇して以来の2連覇を飾った。原辰徳監督(55)は自身6度目のリーグ制覇。長嶋茂雄監督の5度を上回った。次は9連覇を達成した1973年以来の2年連続日本一に挑む。CSは10月12日から始まり、巨人は16日からのファイナルSでファーストS勝者と対戦する。
感激はジワジワとこみ上げてきた。原監督はたくましく成長した選手に身をゆだねた。現役時代の背番号と同じ8度、宙を舞った。東京ドームの白い天井が何度も近づき充実感に浸った。「長いペナントレースを勝ち取ることが一番、険しく難しいと思います」と喜びを表現した。
その瞬間は、唐突にやってきた。午後6時3分。デーゲームで阪神が敗れ、電光掲示板に結果が表示された。優勝決定。だがナインの集中力が切れることはなかった。圧倒的な強さを誇示した今季を象徴するように、しっかりと勝って歓喜の瞬間を迎えた。
他球団の“巨人包囲網”を難なく突破した。追いかけてきた阪神を蹴散らし、昨季に続くぶっちぎりV。「全員がチームの勝利のために個の力、時には自己犠牲を持ってしっかり戦ってくれました」とたたえた。
自身、監督としてのリーグ優勝は通算6度目で、並んでいた長嶋茂雄元巨人監督を上回った。長嶋氏は「まさに円熟の境地だ」と采配を絶賛。それでも原監督は「1年1年勝負という中で戦っていますので、自分ではよく分かりません。私の戦いが終わった時点でそのことを振り返る。自分の数字に対しては少し褒めてあげられるのかなと思いますが、まだまだ戦いは半ばです」と言う。
采配では固定観念にとらわれなかった。6月25日の広島戦で1イニングに2度のダブルスチールを成功させた。絶好調の4番村田に送りバントを指示したことに象徴されるチームプレーの徹底。中井ら若手も効果的にそして大胆に抜てきした。
勝負どころを察知し、迅速に動いた。8月21日のヤクルト戦から3連敗を喫し、てこ入れを即決。同月24日のDeNA戦から阿部を3番、村田を4番に据えるなど打線を組み替え、その後の快進撃に導いた。「勝つため」にとことん貫いた信念が結実した。
退路を断った。常々、周囲に「この世界は1年1年が勝負」と決意を語ってきた。関係者は「来年なんて考えていないです。失うものはないと思っています。全精力を注がないと巨人軍の監督は無理ですから」と指揮官の心境を明かす。“保身”など考えない。だからこそ形にとらわれない采配や選手起用ができる。
監督は1年1年が勝負。その信念は02年の監督1年目と変わらない。「監督なんてそんなに長くやるものじゃない」と周囲に話してきた。その積み重ねで、監督通算10年で6度の優勝。球界屈指の名将になった。
リーグ連覇は、指揮官にとって通過点でしかない。2013年も最後まで戦い、勝つことが最大目標だ。勝利の美酒に酔いしれるのはこの夜だけでいい。「さらに上を目指して戦っていきたい」。大きな山の頂に向け、力強く歩みを進める。
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