済美安楽まさか初戦敗退…センバツ絶望
「高校野球秋季愛媛大会・1回戦、西条4-2済美」(22日、坊っちゃん)
済美の157キロ右腕・安楽智大投手(2年)が右肘に違和感を訴え、三回途中で降板。2‐4で西条に敗れ、来春センバツ出場が絶望的となった。2回1/3を投げ、4失点(自責3)。43球を投げたところで、高校入学後初めて自ら交代を直訴した。右翼守備につき、九回には意地の2ランを放ったが、逆転の願いは届かず1回戦で姿を消した。
限界だった。右肘に覚えた異常な感覚は、投げ続けるにはリスクが高すぎた。三回、相手4番・山橋に死球を与え1死一、二塁のピンチを招いた安楽は、ベンチの上甲正典監督(66)に視線を送り、高校入学後初めて自ら交代を申し出た。
「これ以上投げるのは無理だと思った。チームに迷惑をかけると思った。悔しいです」。来春センバツ出場が絶望的となった怪物右腕は試合後、ぼう然とした表情で苦渋の決断を振り返った。
プレーボール直前の投球練習で「腕がつるような感じがした」。不安を抱えて入った初回、3連打を浴びて2点を失った。全力投球にはほど遠い2回1/3、43球。三回に交代後は右翼守備に就いたが、直後の右前打で本塁に送球すると、右肘を押さえながら苦悶(くもん)の表情を浮かべた。「手がシビれます」。ベンチに戻ると、上甲監督にそう訴えたという。
「2日くらい前からキャッチボールも軽くしか投げないし、おかしいと感じていた」と指揮官は明かす。状態を確認したが、本人は「大丈夫です」と返答。先発マウンドを譲る気はなかった。
18UW杯(台湾)では計3試合で18回無失点。絶好調で帰国し、秋の戦いに乗り込んだ。今春センバツは決勝で浦和学院に1‐17で大敗。その雪辱を果たすため、2年連続の春の聖地を目指してきたが…。「自分たちはまだ弱い。強くなりたい」。しばらく右腕を休め、怪物は長い冬の鍛錬に入る。