マー君シーズン無敗完成!開幕24連勝
「楽天7-3オリックス」(8日、K宮城)
楽天・田中将大投手(24)が8日、オリックス22回戦(Kスタ宮城)に先発し、7回4安打2失点で開幕24連勝を飾り、昨年8月26日からは28連勝として、ともに自身が持つプロ野球記録を更新した。田中はこの日が今季最終登板の予定。ともにプロ野球史上初となる「20勝以上でのシーズン無敗」「無敗の最多勝投手」が誕生した。
超人的な記録を作り、恐縮しきりのマー君がいる。もう、塗り替えられることはないかもしれない無傷の24連勝。無敗での最多勝投手、無敗で20勝以上を記録した投手はいずれも史上初。ヒーローインタビューでは、とんでもない数字に興奮するファン、インタビュアーを前に「…うれしいです」と苦笑い。一番冷静だったのは、マー君本人だった。
序盤、不運な失点もあり、リードされる展開。だが危機感を抱くものは、もういないだろう。打線が三回に打者一巡の猛攻であっさりと大量点。その後は打たせて取る投球術で、当たり前のゼロ行進が始まった。7回2失点。「リズムがいいし、守りやすい」と星野監督。田中が投げる試合で、打線がつながりやすいのは、偶然の一致ではない。
毎年、シーズン開幕前に「今年は全部勝つ」と心に誓ってきた。不可能に近いことだが、やってのけた。7月26日のロッテ戦、1点ビハインドの九回に打線がつながってサヨナラ。崖っぷちで14勝目がついた。「一度死んだ身」と野手に感謝し、その後は突き抜けた。ちょうどその頃、星野監督は「無敗でいくやろ。8割くらいな」と予言した。「アンビリーバブル。私みたいな並の投手じゃ彼を評価することはできない」。この日試合後、指揮官は今季一番の賛辞を贈った。
マー君といえば高校野球。甲子園。そんなイメージが強かっただろう。今年、甲子園での練習後に「甲子園は特別な思いが湧くか」という質問に「特に」と笑った。「もう、思ってもないことを言うのはやめたんです」。どこで投げても、マウンドでは勝利を導く。周りの騒がしさに左右されることなく自然体で投げ続けた。それが前人未到の大記録樹立につながった。
次は17日のCSファイナルS初戦に先発する。お立ち台で「次の登板はCSになるんですけど」と、自ら言った。「みんなで、もう一回パ・リーグの王者をつかみ取れるように頑張りたい」。築いた金字塔はひとまず置いた。田中はいつも通り、次の登板だけを見据えた。