統一球の“悪質隠ぺい”やりとりを公開
日本野球機構(NPB)は25日、統一球問題の事実調査を行った第三者委員会の最終報告書の全文をNPBのホームページで公開した。隠ぺい工作の生々しいやりとりや、統一球変更の背景を記載。一方で、25日付で辞任した加藤良三前コミッショナー(72)が第三者委の調査に不満を示し、怒りの反論文をファクスで報道各社に配信した。
潜んでいた“闇”の一部が浮き彫りとなった。報告書では球の変更を主導した下田前事務局長が、公表を促すミズノ社を「いいんです」と制するなど、生々しいやりとりが判明。第三者委のヒアリングでもNPB職員が虚偽の説明を行い、証拠物にも改変の疑いがあるなど、隠ぺい体質の実態が明かされた。
極秘変更の経緯や背景についても記載。ボールが変更されたのは今年3月だが、変更前の昨年5月には、セ・リーグの社長懇談会で「公には変えたと言わずに、芯を変えてはどうか」との意見が出たという。
同10月の代表者会議でも一部が「黙って変えちゃうのが一番いい」と発言。その席上では「これだけの人が聞いて、漏れないわけない」との声が上がり、下田前事務局長が「駄目ですよ、言っちゃ」と制止したという。
同11月には巨人、阪神、ソフトバンク、オリックスが変更を求める要望書を提出。特に巨人が強く主張したが最終的にはNPBに一任された、としている。下田前事務局長は第三者委に対し、独断で変更した理由について「私の職務怠慢」と繰り返したという。
報告書の内容について、報道陣への説明はなし。個人名などにはマスキングが施されるなど、“闇”は完全解明されないまま、幕引きされた形となった。