中日達川コーチ、井伊直弼の極意伝える
中日・達川光男新バッテリーコーチ(58)が16日、ナゴヤ球場で合同自主トレを初視察。新コーチとして指導する春季キャンプでは捕手の極意を伝えることを明かした。
「井伊直弼(いい・なおすけ)の言葉に『出迎え三歩、見送り七歩』というのがあるんだけど、それは捕手の極意でもあるんだ。どういう指導になるかは谷繁監督と相談しながらになると思うけど、この極意は若い選手に伝えたいね」
井伊直弼とは近江彦根藩の第15代藩主。日米修好通商条約に調印する一方、攘夷(じょうい)派を弾圧したことで暗殺された幕末の大名だが、茶人としても有名。達川コーチは茶の湯の極意として記されていた「出迎え三歩、見送り七歩」、「歩みくる人に安らぎを、去りゆく人に幸せを」という言葉に捕手と通じるものを感じていた。
本来は客の見送りをおろそかにしてはいけない、見送りは終わりではなく次への始まりという接客の極意だが、「捕手も一緒だよ。投手がマウンドを降りるとき、受けさせてくれてありがとう。次もよろしくお願いしますという謙虚な気持ちが必要」と達川コーチ。現役時代から読書を趣味としていたが、ベテランになってこの言葉を胸にプレーしていたそうだ。
「ランニングの姿を見たら、みんなよく練習していたことが分かる。キャンプでしっかり教えていきたい」。新コーチには谷繁兼任監督の後継者育成を託されているが、まずは心構えを注入するつもりだ。