プロ注目左腕・田嶋が毎回12K完封
「選抜高校野球・1回戦、佐野日大2‐0鎮西」(23日、甲子園)
佐野日大が鎮西を2‐0で下した。今秋ドラフト候補左腕の田嶋大樹投手(3年)が、毎回の12奪三振で5安打無四球完封の快投を見せた。
糸をひくようなラストボールは、131キロの球速以上の伸びがあった。これが田嶋の真骨頂だ。「最後はすごく気持ちよかった」。空振り三振で試合を締めると、勢いのまま軽やかに体を回転させた。
序盤から飛ばした。自己最速タイの145キロ直球で空振り三振を奪うなど、二回1死から4連続K。2種類のスライダーも低めに集め、鎮西打線を牛耳った。九回2死から連打で一、二塁とされたが「気合が入った。できれば三振で終わりたいと思っていた」と動じず、完封を決めた。
投げるために生まれてきたのかもしれない。「よちよち歩きの頃から、ボールにしか興味がなかった」と母・美知さん(46)。おもちゃ売り場で行くのは必ずボールの前。自宅では大小さまざまなゴムボールを投げては喜んだ。幼稚園に上がる前には、田嶋が無邪気に小石を持つと、周囲の大人が慌てて取り上げるほど、見事な軌道で投げた。今につながる、スピンの効いたボールの原点だ。
昨秋関東大会で左足首をねんざし、本格的な投球練習再開は今月に入ってから。大会No.1投手の前評判は「プレッシャーになった」と明かしたが「呼ばれてもおかしくない投手になろう」と切り替え、本番で実力を証明した。「ゼロにこだわって投げていきたい」という哲学通りの完封劇。快速左腕が最高のスタートを切った。