ハム大谷、甲子園日本人最速160キロ
「阪神0‐4日本ハム」(18日、甲子園)
大歓声、スタンドの雰囲気。思い出の詰まった甲子園は日本ハム・大谷にとって力を引き出させてくれる特別な場所だ。公式戦プロ初登板の聖地で直球はキレまくった。自己最速タイの160キロをマーク。抜群の球威で8回を1安打無失点。自己新となる毎回11奪三振で6勝目を挙げた。
歓声の余韻が残る中、大谷は「お客さんが入っててすごく楽しかった。なんとか粘りながらいけました」と大観衆の前で笑顔を見せた。
6月4日の広島戦で初めてマークしてから、3試合連続の大台突破だ。二回。ゴメスへの3球目。雨が降る中、長い腕をしならせて投じた直球は外角低めに外れたが、スコアボードに「160km」と映し出された。虎党が取り囲むスタンドから感嘆の声と、どよめきが起こる。さらに2死後、今成への3球目はまたも160キロ。空振り三振を奪うと、右手でグラブを軽くてたたいて小躍りした。
「全然調子はよくなかった」と言いながらも、160キロを自身初めて1試合で2度計測。これまでの甲子園日本人最速、04年のヤクルト・五十嵐(現ソフトバンク)の158キロを上回った。「腕を思い切り振れば、ある程度出る」と言う。末恐ろしい19歳だ。
前日、同級生の藤浪の好投に刺激を受けた。「すごくいいピッチングだった」。花巻東高で2年夏、3年春の2度、甲子園出場も、いずれも初戦敗退。3年春は藤浪との対決に敗れ「一から出直さないと、と感じた」。挫折を経験し、成長への糧とした場所。安定感抜群の投球で六回2死まで完全投球。ライバルに負けない快投を演じた。
八回2死。今成の打席で右足をつるも「大丈夫」とマウンドへ戻り、左飛に抑えた。完封は逃したが、「悔しい思い出しかなかったので試合をつくれてよかった。また投げる時はいいイメージでいける」。甲子園で成長した姿を見せた大谷。大投手への道を着々と歩んでいる。