ソフト大隣6回0封 難病克服し大舞台
「ソフトバンク2‐1オリックス」(2日、ヤフオク)
「もう投げられないかもしれない」‐。一度は野球を諦めかけた左腕が、不屈の精神で夢にたどり着いた。ソフトバンク・大隣は、幸せをかみしめて秋山監督を胴上げした。
昨年6月、東京都内の病院で手術を受けた。脚のしびれや痛みがあり、ひどい時は歩けなくなる「黄色靱帯(じんたい)骨化症」。脊髄付近の靱帯が骨のように硬くなり神経を圧迫する病気だ。
手術しても治る保証はない。それでも野球を続けるなら選択肢は一つしかなかった。背中にメスを入れ、背骨の一部を取り除いた。
「精神的にも一人では絶対に耐えられなかった」。妻・優子さんの支えもあり、地道なリハビリを続けてきた。今年7月13日の日本ハム戦で、中継ぎで408日ぶりの1軍マウンドに立った。同月27日のオリックス戦、先発で今季初白星。計3勝をマークした。
そして優勝を決める試合でも6回無失点。「初回はさすがに緊張した。足も震えた。でも自分の投球をすることができた」。チームを優勝に導く好投だった。
「(手術をして)こんな舞台に立てるとは思わなかったし、チームに貢献できたことが本当にうれしい。これをCSや来年につなげられるようにしたい」。復帰イヤーのゴールは、まだ先にある。