稲葉万感…両軍からの惜別胴上げに涙
「パCSファイナルS第6戦、ソフトバンク4-1日本ハム」(20日、ヤフオク)
日本ハムはCSファイナルS最終戦で敗れ、日本シリーズ進出を逃した。引退を表明している稲葉篤紀内野手(42)が試合後、両チームの選手の手で胴上げされ、感涙にむせんだ。ヤクルト、日本ハムで20年プレーし、通算2167安打を放った男が、現役生活に別れを告げた。
あふれ出る涙をこらえきれなかった。最後まで応援してくれた左翼席のファンへあいさつへ行くと、稲葉は何度も涙を拭った。
日本シリーズで花道を飾る決意で戦ったが、ファイナルSで敗退。グラウンドでは稲葉コールが起こる中、両軍の選手の手で5回、宙に舞った。胴上げ中も涙を止めることはできなかった。
「ここまで精いっぱいやりました。これで全てが終わりました。そんな感じです。悔いはないです」。感慨深げに話した。
チーム最年長リーダーは、最後まで勝利への執念を持って打席に立った。4点ビハインドの九回先頭で、代打で出場。「三振でもいいから悔いが残らないように打席に入ろうと思って」。サファテの直球に差し込まれて、現役最後の打席は捕邪飛に倒れた。それでも「悔いはないです」と振り返った。
今CSは代打の切り札として活躍。全盛期の力はなくても、勝負強さは健在だった。オリックスとのファーストS第3戦は代打で同点適時打を放ちファイナルS進出に貢献。第5戦でも代打で中前打を放ち、逆転勝利につなげた。
ヤクルトから日本ハムに移籍して10年、兄貴分として若手を指導した。全力疾走を怠れば、中田といえどもしかることもあった。「みんな成長している。新しいファイターズをつくってほしい」と後輩に夢を託した。
「またユニホームが着られるように勉強していきたい」。20年の現役生活に別れを告げた稲葉。将来は指導者として戻ることを目標に、グラウンドを去った。