県岐阜商・高橋 藤浪153キロ超え宣言
第87回選抜高校野球大会(3月13日抽選、21日開幕・甲子園)の選考委員会が23日、大阪市内で行われ、出場32校が決定した。2年ぶり28度目の出場を決めた県岐阜商の最速152キロ右腕、高橋純平投手(2年)は、大阪桐蔭の藤浪(阪神)らが持つ大会最速153キロを更新し、全国優勝を果たすことを宣言した。全国では無名の存在だが、阪神などがドラフト1位候補に挙げる逸材。全国デビューとなる今大会でブレークするのは必至だ。
表情をピクリとも変えなかった。高橋は微動だにせず、センバツ出場決定の一報を聞き入れた。これまで手が届かなかった全国の舞台、そして聖地のマウンド。前だけを真っすぐ見つめる視線は、はっきりと2つの目標を定めていた。
それは全国制覇とセンバツ最速記録の更新-。チームでは主将も務めるだけに「チームの目標が全国制覇なので、勝てる投球をしたい」と前置きした上で「勝利が優先ですけど、ストレートの速さは自分の持ち味。それ(最速記録)にこだわったら打たれるので、チームが勝った上で余裕があれば挑戦したい」と力を込める。
センバツ最速記録は12年の大阪桐蔭・藤浪(阪神)と、08年の宇治山田商・平生拓也がマークした153キロ。これに挑む高橋だが、昨秋の東海大会で152キロを計測しており、決して届かない数字ではない。
県岐阜商の75年ぶりセンバツ制覇へ、エースの自覚も備わっている。勝ち進んでも「投げられるまで投げたい。スタミナには自信があります」とキッパリ。「ロースコアの展開になっても、自分が絶対に点をやらないようにしたい。プレーで引っ張りたい」。その語り口からは、17歳とは思えない風格が漂う。
昨年、野球への意識を変える出来事があった。同校の110周年記念行事で、1933年に初めてセンバツ優勝に導いたOBの松井栄造さんの歴史に触れる機会があった。甲子園無敗、3度の日本一達成など輝かしい成績を残しながら、第2次世界大戦中の43年に中国で戦死。高橋は「野球ができる幸せを背負わないといけない」と心に誓った。
「第1球はストレートです」と力強く宣言した剛球右腕。スターの資質を秘めた“虎の恋人”が、もうすぐ聖地に立つ。
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