オリの中島は焦らず!慌てず!

 19年ぶりの優勝を目指し、大型補強を敢行したオリックス。宮崎での春季キャンプで、ひときわ注目を集めるのが中島裕之内野手(32)だ。西武からアスレチックス傘下のマイナーを経て、再び日本球界へ。これまでの栄光と挫折を糧に、新たな勝負を挑む。

 3年ぶりに日本球界へ復帰した中島のキャンプのテーマは「焦らず、慌てず」だ。キャンプ前に「飛ばしすぎず抑えたい。シーズンが始まったらいい状態でやれるように」と宣言した通り、開幕にピークを持ってくることを見据えた調整を貫く。序盤は右打ちに徹し、フルスイングは封印している。

 じっくり仕上げるのには理由があった。2013年、アスレチックスに移籍。しかしキャンプインからシーズンまでの期間が短い米国流調整に焦り、ペースを一気に上げすぎた。結果、左太もも裏を故障。結局、一度もメジャーに出場することなく、2年間の米国生活を終えた。

 今年のキャンプでは打撃練習の方法を西武時代のものに戻した。1日のフリー打撃で、2つある打席のうち一塁側の方に入った時の光景が特徴的だった。

 カーブマシンの球をフルスイングせず右打ちを繰り返した。バントの構えからバットを引き、バスターのようにボールをたたく。「一塁側に防球ネットが立っていたので、端から順に打球を当てた。角度を決めて、次はあそこ、次はあそこというふうに」。バットを出す角度と打球の方向を確かめた。

 第2クール以降は、インパクトの感触を重視。「バットを通じて、ボールに力をうまく伝えることを意識している。バットにボールを乗せて運ぶ感じ。もっと日にちがたてば、それに力を加えて打球も飛ぶと思う」。自分で決めた段階を、着実に踏んでいる。

 「アメリカでは練習の時、本格的な打撃投手が投げてくれることはなかった。コーチがひょい、と軽く投げる球を打つだけ。打つ数も、日本の方が多い」。戸惑いばかりだった米国流のキャンプ。しかし今は、自分のやりたいような練習ができている。

 守備では、複数ポジションを要求される森脇野球にフィットするため、遊撃、三塁、一塁の練習をこなす。中島といえどもレギュラーが確約されているわけではない。競争が激しいのはマイナー時代と同じ。「去年、3Aでは三塁がメーンで、あとは遊撃。2Aでは二塁。最後のプレーオフは一塁を守った」。用意したグラブは、米国時代から愛用する内野手用のものを2個。「同じ型のものを2つ。それでいろんなポジションを守ってきた」と、相棒を手に勝負に臨む。

 場所を沖縄・宮古島から宮崎に移したオリックスキャンプは、昨年までを大きく上回る観客を集めている。客席には「中島裕之 1」の横断幕も登場し、期待は高い。森脇監督も「バッティングはいいものを持っているし、個性があって勤勉。遊撃もいいんじゃないか」と期待をかける。

 06年から5年連続で打率3割以上をマークしたスター選手だった西武時代と、マイナー時代の苦い経験。2つの野球から得たものを融合した「オリックス・中島」から目が離せない。

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