大谷投げた89キロ遅球!緩急差70キロ

 「オールスター第1戦、全セ8-6全パ」(17日、東京ド)

 3度目の夢舞台。全パ・大谷(日本ハム)が昨年の球宴とは違う投球でスタンドを魅了した。2回で27球投じ、2安打1失点。最速は159キロ。昨年の球宴第2戦で自己最速162キロをマークした新記録更新はならなかったが、緩急差は実に70キロ。落差のあるフォークに球宴用スローカーブを交え、セの強打者を抑えた。

 「6人で抑えたかったですけど、打たれましたね。思ったより落ち着いて投げられたと思います」。岩手から親族を招待した今球宴。失点はしたが、思い描いていた投球ができ、笑みをこぼした。

 スピードへの欲求を封印した。「直球だけならここに選んでもらっていない。全球種を使っていきたい」。今季前半戦での10勝達成は多彩な変化球を使ったからこそと自覚。今年のMLB球宴でレッズ・チャプマンがマークした166キロの投球を見て「すごいですねえ」と、憧れの思いを抱きながらも、目の前の打者を抑えることに集中した。

 初回2死。山田への2球目に「シーズンで投げたことない」というプロ入り最遅の89キロカーブを投じ、3球目には153キロ直球で遊ゴロに打ち取った。

 二回は1死三塁からロペスに155キロ直球を中前へ運ばれ先制を許したが、続く平田をフォークで空振り三振を奪った。川端への3球目。「1球だけ狙いましたけど、出ませんでした」とこの時だけ最速超えを目指したが159キロ。自己最速はならずも「楽しかった」とほほ笑んだ。

 昨年球宴の失敗は繰り返したくなかった。周囲の期待もあり球速にこだわった。力いっぱいの投球を繰り広げたあまり、後半戦でフォームのバランスを崩すことにつながった。コーチとしてベンチ入りした栗山監督にも「シーズン通りの投球をしなさい」とクギを刺されたが、自身も納得して臨んだマウンドだった。

 試合前からクルーズに記念撮影を求められ、松井裕には投球術の質問攻めにあった。選手間でも年々高まる存在感。「いい緊張感もありました。これからはベンチで応援します」。昨年までにない充実の球宴投球を終え、後半戦に向かう。

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