広島新庄、創部87年で悲願の夏初出場

 「高校野球広島大会・決勝戦、広島新庄3-1市呉」(26日、しまなみ)

 決勝戦が行われ、広島新庄が1928年の創部以来、初の夏の甲子園出場を勝ち取った。県北勢としても初の快挙。初回に本盗で先制点を奪うと、四回の決勝点も足を絡めた攻撃で奪った。迫田守昭監督(69)が相手投手を徹底研究した攻撃で、聖地への切符をつかみ取った。

 安堵(あんど)の表情を浮かべた迫田監督の瞳は、真っ赤に充血していた。「夢みたい。でも3日間、続けて徹夜だったんだよ」と白い歯をのぞかせる。記念すべき初めての夏の甲子園出場。相手を徹底的に分析し、弱点を突いて、見事に頂点をつかみ取った。

 奇襲を仕掛けた。初回2死一、三塁。5番・定永の3球目で重盗のサインを出した。「(投手の)野村君は一塁へ緩いけん制が多い。昨日の広陵戦は60数回していた。そろそろ一塁へ投げると思った」。野村が足をゆっくりと上げて山なりの球を一塁へ投げる間に本盗-。「一生に一度、あるかないか」。それが狙いだった。

 野村はけん制せずそのまま投球。タイミングはアウトだった。だが捕手が球をこぼしてセーフになった。「作戦的には失敗」。それでも積極的な采配が先制点につながった。

 四回の決勝点も相手の癖を利用した。あえて野村の山なりの一塁けん制を誘って、二盗に成功。好機を広げて、勝ち越しを呼び込んだ。広島商監督時代も誰より分析に力を注いできた。大会前の徹夜は当たり前。分析したメモは数え切れないほどある。地道にまいてきた種が、大輪の花を咲かせた。

 3年連続、通算4度目の決勝。13年は田口(現巨人)、14年は山岡(現国学院大)とプロ注目投手を擁しながら敗れた。14年春に選抜大会に出場し、甲子園は経験済みだが「夏は1つも負けられない中で勝てたことはうれしい」と笑った。

 来月6日に本大会が開幕する。「きょうは勝った喜びをみんなで味わいたい。甲子園での戦いは明日から考えます」。今はただ、熱戦を制して、悲願を成し遂げたことに感謝するだけだ。

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