元広島・河内スーツになってもカープ愛
「第二の人生、プレーボール!」
だれもが大きな夢と希望を胸に抱いて飛び込んだプロの世界だ。十分にやり尽くしたと納得してユニホームを脱ぐ選手。野球への未練を断ち切るのに長い時間を要する選手。そんな彼らの第二の人生へ。エールの思いを込めてプレーボール!
この秋、マツダスタジアムで行われた契約更改交渉。見慣れないスーツ姿に、選手の間で笑顔が広がった。誰からも愛された現役時代そのままに、広島・河内貴哉投手(33)が球団広報としての人生をスタートさせた。
「長い間、カープにお世話になった。悔いはない」
99年度ドラフト1位。3球団が競合した本格派左腕の野球人生は故障との闘いだった。08年に左肩関節唇および腱板(けんばん)部の修復手術を受け、育成選手に。実戦復帰まで4年を要した。
マツダスタジアムで投げたいという思いが支えだった。当時の沢崎3軍コーチが、マウンドからスコアボードを撮影した写真を2軍のロッカーに貼ってくれた。「このマウンドに立ちたいと思ったから頑張れた」。09年に結婚したまどか夫人にも勇姿を見せたかった。11年5月27日、ウエスタン・ソフトバンク戦で復帰し、初めてマウンドを踏んだ。
「球団には本当に感謝しています。今は、入団したときと同じような新鮮な気持ちです」。これからは裏方としてチームを支えていく。