楽天オコエ、1軍の舞台が進化促す
楽天のドラフト1位・オコエ瑠偉外野手(18)=関東第一=が、開幕1軍に向け前進している。球団史上初となる高卒野手の開幕1軍の実現を期待する声もあれば、まずは2軍でじっくり育てるべきなど、さまざまな意見も聞かれるが、注目の18歳はそんな周囲をよそに、着実に結果を積み上げている。
2月1日のキャンプ初日で打球が思うように飛ばなかったことも、今となれば遠い過去のことのようだ。その後、オコエは驚くべき吸収力を発揮し、練習試合、オープン戦で、阪神・藤浪、西武・菊池といったエース級投手からも安打を放つなど、実戦での対応力を見せるまでに成長を遂げた。
もともと守備と脚力は1軍で通用するレベルと言われていたオコエは、課題だった打撃で結果を残し続けることで、梨田監督をして「十分な戦力」と言わしめた。現時点で3月10日~13日の静岡遠征までの1軍帯同が決定している。
高卒野手が開幕1軍を迎えるのは、決してたやすいことではない。過去20年間でも、開幕を1軍で迎えた高卒野手はわずか5人。だが、かつてあるスカウトがこう話していたことがある。「置かれたレベルに対応できる選手は、1軍で試合経験を積ませた方がいい。2軍に置いておく必要はない」。
特に高卒ルーキーの場合は2軍戦で打席に立たせ、場数を踏ませることが選択肢として大多数を占める。だが、じかに1軍レベルでもまれることで力を付けていく選手というのが、少なからずいるということだ。1軍の実戦で結果を出したオコエも、そのタイプに当てはまるのかもしれない。
ネット裏の他球団スコアラーたちは、こう口をそろえる。「普通は高校生ルーキーというのは、先輩の中に入って緊張したり遠慮したりするもの。でもオコエは、プロという場にすっかりとけ込んで、なじんでいるように見える。なかなか、こんな高校生はいない」。その堂に入った振る舞いから、物おじせずにプロの水になじんでいっているのが、はた目にも分かるのだという。そういった姿が、打席での対応力につながっていると言っても過言ではない。
もちろん開幕1軍だけがすべてではないだろうし、当然のことながらシーズンに入れば、相手投手の攻めや配球はガラリと変わり、プロの厚い壁に当たるときは必ず来るだろう。だがオコエには、快挙を刻むだけの期待を持たずにはいられない。(デイリースポーツ・福岡香奈)