龍谷大平安サヨナラ 市岡気迫の175球

 「選抜高校野球・準々決勝、龍谷大平安2-1明石商」(28日、甲子園球場)

 準々決勝が行われ、龍谷大平安(京都)が延長十二回サヨナラで明石商(兵庫)を下し、2年ぶりに4強へ駒を進めた。エースの市岡奏馬投手(3年)が気迫の175球で相手打線を1点に封じ、自ら二塁打を放ってサヨナラのホームを踏んだ。対する明石商の145キロ右腕・吉高壮投手(3年)は178球の熱投も実らず。ただ聖地のファンは雨が降りしきる中でも、両エースの投げ合いに大きな拍手を送った。

 降り注ぐ雨の中、誰も席を立とうとしなかった。聖地の客席にまで漂った緊張感、それを生み出した2人の投げ合い-。最後の快音がもたらした悲鳴と大歓声が交錯する中、サヨナラのホームを踏んだ市岡は「やっと勝てた。やっと終わった…」と心の底から声を絞り出した。

 それほど壮絶だった吉高との投げ合い。マウンドでは鬼気迫る表情を崩さず、プライドを張り合うように腕を振った。「正直、前半は良くなかった。とにかくバックを信じて投げた」と市岡。尻上がりに調子を上げ、球数が150球を超えても球威は落ちなかった。

 延長十二回には先頭で右翼線二塁打を放ち出塁。2死満塁から小川晃太朗外野手(3年)のサヨナラ打で終止符を打った。「本当によく粘って投げてくれた」と声を詰まらせた原田英彦監督(55)。そんな左腕のタフな肉体と強固な精神力は猛烈な練習でつくられた。

 今年から導入された200メートル坂道隊列ダッシュ。全員が列を成し、45度はあろうかという傾斜を駆け上がる。中には遅れる選手も出てくる。その手を引っ張り、猛烈な勢いで駆け上がるのが先頭に立つ市岡だった。

 設定タイムを切れなければノルマの本数には数えられない。主将として「もっと走れや!!」と厳しい言葉をかけながら、過酷な冬場に自らを追い込んできた。「あれだけ走ってきたから…」-。その確固たる自信が至高の投手戦を制した。史上2校目の春夏通算100勝まであと1勝。頼もしすぎるエースは「自分たちの春で達成したい」と笑った。

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