明石商・吉高178球目に泣く
「選抜高校野球・準々決勝、龍谷大平安2-1明石商」(28日、甲子園球場)
準々決勝が行われ、龍谷大平安(京都)が延長十二回サヨナラで明石商(兵庫)を下し、2年ぶりに4強へ駒を進めた。明石商の145キロ右腕・吉高壮投手(3年)は178球の熱投も実らず。
最後の1球は「覚悟を決めた」球だった。しかし、何度もピンチを切り抜けた得意のスプリットが、178球目で浮いてしまった。明石商の吉高は「覚悟を決めても決めきれなかった。心の甘さがあの1球に出た」と自分を責めた。
バント失敗などで得点機を生かせない展開。「ちょっとでも苦しいと思ってしまった」のが「心の甘さ」だと言う。1-1の延長十二回、2死満塁で追い込んでから小川に投じたこん身の1球が捉えられ、天を仰いだ。
試合後にぬぐったのは涙じゃなく「雨」。3試合を一人で投げ抜き、この日は七回、市岡を相手に自己最速146キロをマークした。それでも「僕が踏ん張れなかったことがすべて」と敗戦を一人で背負った。
イニング交代のたびに「神聖な場所なので」とマウンドの前で深々と礼をする。初出場の快進撃をけん引したのは間違いなく背番号1。170センチの小柄な体でも「全国でやっていけることがわかった」とごほうびをくれた聖地に「絶対に戻ってきます」と誓った。