滋賀学園・井川、亡き友へ誓い果たした

 「選抜高校野球・準々決勝、智弁学園6-0滋賀学園」(28日、甲子園球場)

 天国のアイツは、何と言ってくれるだろうか。聖地での3試合。全力でプレーした自負はある。「怖い場所。だけど、夢のような場所でした」。悔しさで曇っていた滋賀学園・井川翔内野手(3年)の表情が、少しほころんだ。

 昨年4月、親友を交通事故で突然失った。高富中の同級生・幅岸貴文さん。放課後は野球に興じ、よく川遊びをした。一緒にそばをすすり、年を越した。ボーイズリーグの県選抜では、二塁・井川の後ろで、幅岸さんが中堅を守った。

 悲報に接した時は何も手につかなかったが、誓いの言葉が気持ちを奮い立たせてくれた。「甲子園に連れて行くからな」。幅岸さんの父に頼まれた告別式の友人代表スピーチ。キッパリと宣言した。

 井川は光が目に入るとまばたきが増えて頭痛が起きるため、サングラスが手放せない。猛練習にくじけそうになったこともある。だが、負けなかった。「自分がここまでになれたのは、貴文のおかげ」。友情が間違いなく成長の支えだった。

 2試合5安打の好調ぶりから一転、この日は無安打。九回は代打を送られ、力不足を痛感した。誓い通りにたどり着いた聖地では「すごい経験」ができた。でも、これで終わりじゃない。「もう一回ここに連れてきて、楽しくプレーしたい」。亡き友と最後の夏を甲子園で完全燃焼する。それが次の約束だ。

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