四国IL サブロク双亮の二刀流に注目

 異色の“二刀流”が野球の独立リーグを盛り上げている。四国アイランドリーグplus(IL)のトライアウトに合格し、愛媛マンダリンパイレーツに入団したお笑いコンビ「360°(サブロク)モンキーズ」の杉浦双亮投手(40)が、10日に行われた巨人3軍戦でデビュー登板。芸人によるプロ投手への挑戦物語が、いよいよ本格スタートした。

 登録名「サブロク双亮」の初マウンドは、3-4の九回に訪れた。初球は118キロのストレート。先頭打者に四球を与え、次打者に送りバントを決められ1死二塁となったところで降板となった。わずか7球だったが、松山・坊っちゃんスタジアムの観客は大喜び。チームがサヨナラ勝ちしたこともあって、本人も「お客さんが投げやすい雰囲気をつくってくれて、めちゃくちゃ楽しかった!でも、先頭打者に四球というのは投手として一番やってはいけないこと。頭丸めてきます。あっ、もう丸まってる!」とツルツル頭をなでて笑わせていた。

 その前日、ホーム開幕戦だった9日には事務所の先輩・山田邦子が東京から駆けつけ、始球式を行った。コンビを組んで20年になる相方・山内崇も来場。グラウンド整備が行われる五回終了後には、3人がマイクを手に観客席の前に登場し、軽妙なトークでファンを盛り上げていた。

 四国ILの選手は原則的に副業が禁止されているが、杉浦は特例として、入団後も芸人活動を認められている。地元・愛媛のテレビやラジオにも出演。得意の野球モノマネを披露するだけではなく、スタジアムへの来場を呼びかけるなど、リーグの“宣伝マン”としての役目も担っているのだ。

 多くの若者がNPB入りを目指して奮闘する四国IL。創設から11年で約50人の選手をNPBに輩出してきたが、同リーグの魅力はそれだけではない。昨季は藤川球児投手(現阪神)が高知ファイティングドッグスでプレーした。その高知は今年、“エモやん”こと江本孟紀氏が総監督に、そして“満塁男”駒田徳広氏が新監督に就任して注目を集めている。リーグはよりレベル高く、より華やかに進化している印象だ。

 杉浦の“二刀流”も今季リーグの大きな楽しみの一つ。名門・帝京高野球部出身で、当時は140キロの直球を投げ込む本格派右腕だった。40歳の今は120キロ前後に球速は落ちたが、草野球で覚えたツーシームを武器に、打たせて取るスタイルで勝負する。「目標は、一生のうちにプロとして1勝すること。お笑いも野球も真剣に向き合って頑張ります!」と杉浦。痛快なチャレンジの行方に注目したい。(デイリースポーツ・浜村博文)

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