内川、被災地に届けた涙の決勝3ラン
「ソフトバンク3-2楽天」(15日、ヤフオクドーム)
スタンドに吸い込まれていく打球を見て、頭の中にいくつもの疑問符が浮かんだ。「練習でもあそこまで飛ばない。『うそやろ?』と」。開幕3連勝中だった則本に浴びせた決勝3ラン。ソフトバンク・内川は人ごとのように値千金の一発を振り返った。
開幕戦でやられたエース右腕を相手に、数少ない好機は四回に訪れた。先頭の福田が失策で出塁。今宮の犠打、柳田がパ・リーグ新の16試合連続四球でつなぎ、1死一、二塁で4番に打順が回った。
「(柳田は)また四球か、すごいなと。甘い球がきたら最初から打つつもりで打席に入った」。その初球、甘く入ったフォークボールを左中間に運んだ。「いい投手なのは分かっていたので、少ないチャンスで打てて良かった」。チームの連勝を5に伸ばす一発に安どした。
試合後、お立ち台で涙を流した。熊本地震について問われ「避難している人を見ると、こういうことはあってほしくないと…」と声を震わせた。
チームは10日に熊本で試合をしたばかり。送ってくれた当時の声援が脳裏に鮮明に残る中、被災者に思いをはせた。「ホークスは九州全体で応援してもらっている。直接できることはあまりないけど、野球を見ている間だけでも気持ちが軽くなってもらえるなら」。多くの責任を背負い、3連覇への道を歩み続ける決意を口にした。