九州男児、巨人・村田が復活ののろし打
「巨人2-1広島」(17日、東京ドーム)
巨人移籍5年目。移籍後最大の崖っぷちに立たされている村田が、連日の活躍を見せた。前日は一時勝ち越しとなる1号ソロ。この日は1-1の八回1死三塁から中前への決勝適時打だ。昨季、移籍後ワーストの打率・236に沈んだ男の意地の一打が、チームを4カードぶりの勝ち越しに導いた。福岡出身で親戚が熊本にいる村田にとっては、被災地への思いもこめられた殊勲打となった。
前日の試合終了後、ベンチ裏のミラールーム。お立ち台に上がったクルーズが記者に囲まれている横で、背番号25は黙々と素振りを繰り返した。「どういう球で打ち取られたのか、次の日試合があったらその投手をイメージしながら(素振りをした)」。今季から再導入した横浜時代のルーティン。復活へのなりふり構わぬ姿勢を垣間見た。
今季開幕三塁の座は、2年目の岡本と争った。オープン戦では代打での出場も多かったが「集中して野球をやっている」と前向きに捉えた。勝負どころでのひと振りで結果を求められる代打。その経験が勝負強さをよみがえらせたとも言える。
この日のお立ち台。「今日は3打席ダメだったし、あの場面で1本打たないことには、今日無事に家に帰れないと思って」と話し、ファンを沸かせた。苦しみ抜いた末に見せた笑顔。男・村田が再び輝きを放ち始めた。(デイリースポーツ・田中 哲)