交流戦、セは今年も苦戦するのか
プロ野球セ・パ交流戦が、31日に開幕する。今年が12年目だが、過去11年は、セが勝ち越したのは2009年の1度だけ。それ以外はパが勝ち越している。
特に昨年は、その差が顕著だった。各球団18試合、全体で108試合を戦い、セの44勝61敗3分け。DeNAは貯金10の首位で交流戦に突入したが、3勝14敗1分けと大失速した。2位だった巨人も7勝11敗と負け越し。勝ち越したのは阪神だけ(10勝8敗)という惨状で、リーグ戦再開後には、全球団が借金という史上初の異常事態となった。
阪神、東京(現ロッテ)などで通算320勝を挙げた小山正明氏(81)=デイリースポーツ評論家=は、こう証言する。
「セ、パの力の差は確かに感じる。投手も野手も、パ・リーグの選手の方に、言うなれば“キレ”がある。ただ、それは今に始まったことではない。昔は“人気のセ、実力のパ”と言われたが、それが今も続いている」
実際、交流戦だけではなく、日本シリーズもパ・リーグ球団が3年連続で制している(13年・楽天、14、15年・ソフトバンク)。ダルビッシュ、田中といったエース級がメジャーに移籍しても、取って代わる選手が次々と出てきている。
小山氏は「ドラフト制度がないころは、巨人がアマチュアの好選手を次々と獲得し、その選手が中心となって日本シリーズ9連覇を成し遂げた。これに対してパ・リーグは、選手層の差を埋めるため、セ・リーグよりも一歩進んだ野球をやってきた」と、その時代背景を語った。
持たざるからこそ、戦術を突き詰め、相手を研究し、そして自チームの選手の育成に心血を注ぐ。パ・リーグ各球団が培ってきたものだ。小山氏はセ・リーグ球団に対し、「今はドラフトがあり、くじ運はあるにせよ、選手獲得の機会は限りなく均等に近づいている。にもかかわらずセ、パでこれだけの差が出ているのだから、セの球団はスカウト、編成、そして現場の指導者のあり方を、見直す必要があるのかもしれない」と提言した。
今年の交流戦も、セ・リーグが苦杯をなめることになるのか。小山氏は「野球で勝つために大事なのは、一にも二にもピッチングスタッフ。今、セ・リーグ各球団を見渡しても、真のエースと言えるのは巨人の菅野ぐらいではないだろうか」と、セが厳しい立場にあると分析する。それを踏まえて「セ・リーグ球団の投手陣、そしてベンチの継投策を含めて、パ・リーグの強打者にどう立ち向かっていくのか、そのあたりを注目して見ていきたい。セ・リーグの各チームには、予想を裏切ってもらいたい」とエールを送った。