オリックス版「超変革」成功のカギは? 転換期は6・23の編成会議

 ここのところオリックスの原稿で“初”の文字をよく使う。プロ初安打、初打点、初お立ち台など若い選手がどんどん起用されているからだ。

 きっかけはリーグ戦再開の前日、6月23日に京セラドーム大阪で行われた編成会議だっだ。同じ時間にほっともっとフィールド神戸で全体練習が予定されていたにもかかわらず、現場指揮官である福良監督も呼び寄せ会議は開かれた。

 会議前、報道陣の姿を見つけた瀬戸山球団本部長、加藤編成部長の表情は驚きに満ちていた。

 「何で知ってるの?編成会議?いや、違うよ。会議というかそんな大げさなもんじゃなくて…。誰から聞いたの?」

 どうやら秘密裏に行いたかったようだ。リーグ戦再開前日に指揮官がいなければ、どこにいる?ということになる。隠す方が無理だ。

 この時点で24勝41敗のパ最下位。交流戦も最下位に沈んだ。2時間を超える会議は当然、打開策を話し合った。会議後、取材に応じた福良監督は「今いるメンバーでどう戦っていくかを話し合った。若い力も必要。失敗もあるやろうけど」と言った。瀬戸山本部長は「今いるメンバーで少しでも借金を減らすために頑張ろうと。イキのいい若い選手も使いながらね」と説明した。

 つまり球団から現場へ若手への切り替えが通達されたわけだ。

 その結果、調子の上がらなかった中島、山崎勝らが2軍へ行き、代わって奥浪、若月ら20代の選手が次々に試合に出るようになった。スタメンが糸井以外全員20代の日もあった。金本阪神ばりの超変革だ。最下位に沈むチーム。未来への投資と思えばこれもアリだ。

 ここに一つ問題がある。金本阪神と違いフロント主導というところだ。先の瀬戸山本部長の話には続きがあった。

 「補強はタイミング的にも厳しい。ミッシュとかクラークとか今いる外国人のフォローもしながら」

 4月に2試合登板しただけの新外国人左腕ミッシュとシーズン途中に獲得したクラークの名前をわざわざ挙げたということは“獲った以上は使ってくれ”という指示だったのだろうと想像する。

 結局、クラークは11試合に出場し打率・172、期待された本塁打もわずか2本に終わると2軍へUターン。ミッシュは9連戦の途中、11日・日本ハム戦に来日初先発するが、三回途中KO。球威もなく制球力もなし。そのあとを受け好投した山崎福がローテに組み込まれることになった。

 若手起用に切り替えた当初はミスも多くなかなか勝てなかった。7月に入ると徐々に投打がかみ合うようになってきた。7月は5勝6敗。上向く兆しが見えてきた。

 振り返ってみれば福良監督は日本ハム時代に2軍監督やヘッドコーチとして糸井、中田、陽岱鋼らの育成に携わってきた。選手育成のノウハウは誰よりも熟知している。

 オリックス版の超変革もフロントが口出しせず指揮官にすべてを任せれば良いのではないかと思う。

(デイリースポーツ・達野淳司)

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