巨人 常勝復活の鍵を握る“90年トリオ” 大田、立岡、橋本到
巨人は前半戦を40勝41敗3分け。首位・広島に10ゲームの大差をつけられ、2位で折り返した。高橋由伸監督(41)のもと「一新」のスローガンを掲げてスタートを切ったが、若手の押し上げという面において物足りなさは否めない。
内田打撃コーチが「3人とも、もう次世代の選手ではないよね。チャンスはもらっているわけだから1軍に常にいないといけないし、(レギュラーとして)出てこないと。俺もそうだけど、監督も歯がゆいと思う」と期待を込めてゲキを飛ばすのは大田、立岡、橋本到の外野手トリオだ。
3選手ともにプロ8年目、90年生まれの同期生。開幕前からレギュラー争いを繰り広げ、シーズンでもそれぞれがスタメンでの出場機会を得ている。だが殻を打破できず、チャンスをつかみ切れていないのが現状だ。
3選手のうち、初めにチャンスを得たのは立岡だった。昨季は91試合の出場で打率・304。今季も開幕スタメンに名を連ねて好調なスタートを切ったが、次第に他球団のマークが厳しくなると、本来の打撃を見失って打率が急降下。5月26日の広島戦で左脇腹肉離れを発症して無念の戦線離脱となった。
大田も7月8日のDeNA戦では途中出場で決勝の適時三塁打。チームに数少ない右の長距離砲として活躍の場は増えてきた。ただ、翌9日の同戦ではスタメン出場で4打数無安打。確実性を高めようとノーステップ打法に取り組んで試行錯誤を繰り返すが、首脳陣の信頼を確固たるものにはできていない。
橋本到は6月に1軍昇格を果たすと、スタメンでの出場機会も増加。後半戦の開幕となった18日の阪神戦で1番・中堅で出場したが、好機で空振り三振を喫するなど4打数無安打に終わった。19日の同戦では先制の2点二塁打を放つなど活躍。縦の変化球への対応に課題を残すが、現時点ではレギュラー定着へ最も近い位置にいる。
内田コーチは広島で打撃コーチや2軍監督を務め、強力打線の礎を築いた。昨季から巨人の2軍打撃コーチに復帰。今季1軍打撃コーチに就任してからは、ファーストストライクを積極的に振る意識付けを徹底し、大田や橋本到に対しても失敗を恐れない姿勢を繰り返し求めている。
「(今の)広島打線は、攻撃的で積極的だよね。変化球も、振ってみないことには分からないんだから。鈴木誠也にしても、ファーストストライクからどんどん振ってくる。そこからの失敗は前に進めるんだから」。
3選手ともにスピードがあり、橋本到と大田は強肩という武器も持つ。立岡は開幕当初のように、相手を消耗させる粘り強い打撃が復活すればレギュラー返り咲きの道が開けてくる。球団が描く常勝チームとしての青写真は、彼らの台頭なくして完成には近づかないだろう。(デイリースポーツ・佐藤啓)