最強横浜、聖地王手 神奈川新!大会通算12発 村田が記録達成2ラン
「高校野球神奈川大会・準決勝、横浜8-4桐光学園」(30日、横浜スタジアム)
神奈川大会では、横浜が“最強打線”をひっさげて3年ぶりの優勝に王手をかけた。福永奨捕手(2年)、村田雄大外野手(3年)が本塁打を放って今大会のチーム本塁打を「12」とし、大会新記録を樹立。打ち合いを制し、2年連続の決勝進出を果たした。31日の決勝では慶応と対戦する。
神奈川の歴史を塗り替える一発が、決勝進出への号砲となった。2点リードの六回2死一塁。3ボールから外角高めに浮いたシンカーを、横浜・村田は逃さなかった。逆方向となる左翼ポール際への一発。笑顔でダイヤモンドを一周すると、出迎えた平田徹監督(33)と抱き合った。
「あと2本打ったら記録更新だと話していた。ちょっと狙ってましたね」。メモリアル弾の主砲が、してやったりの表情で明かした。準々決勝までに10本塁打。85年・日大藤沢、14年・東海大相模が持つ1大会チーム最多11本塁打を視界に捉えていた。二回に福永の左越えソロで並び、一気に抜き去った。
昨年8月に就任した平田監督のもと、変革がアーチ量産につながった。昨冬から木製バットを使用したロングティーを日々のメニューに導入。芯で当てないと飛ばないため、下半身を使い、しっかりとした軸回転によるスイングをチームで身に付けた。また、走り込み中心となる冬場は、追い込む中でもあくまで体重を増やしながら強化することを追求した。
1日6食を詰め込み、昨夏から体重が12キロ増の87キロとなった村田は「勝手に打球が飛ぶ。冬のトレーニングのたまもの」と、手応えを口にする。高校通算4号が公式戦初本塁打となった福永は「たまには僕だって…と思っていました」と、胸を張った。
松坂、筒香らのOBだけでなく、原辰徳を擁した東海大相模など、激戦区・神奈川の名だたるチームをも超えた新記録。指揮官を通じて筒香から差し入れられた木製バットで鍛錬を積んできた村田は「全員でやってきたことは間違いじゃなかった。うれしいこと」と喜んだ。3年ぶりの夏の聖地は目前。最強打線の称号も手にした名門が、昨年届かなかったあと1勝をつかみ取る。