横浜・藤平悔やむ1球…二回に救援、初球を痛打
「全国高校野球・2回戦、履正社5-1横浜」(14日、甲子園球場)
2回戦4試合が行われ、履正社(大阪)は横浜(神奈川)を逆転で破り16強に進出した。ドラフト1位候補のエース・寺島成輝投手(3年)は強力打線を初回の1点のみに抑え、同校初めての夏2勝に貢献。横浜は同じくドラフト1位候補の藤平尚真投手(3年)が二回途中から好救援したが、二回の5失点が大きく響いた。
凜として立つ藤平の目に、涙はなかった。「悔しいですし泣きたい気持ちはあるけど、横浜高校のエースとして、今はチームメートを慰めなきゃいけない立場だと思う」。甲子園に、高校野球に別れを告げる日。少年から1人の野球人になりつつある姿があった。
先発は相手の左打線を考慮して左腕・石川。右翼から出番を待った。2度の雨天中断もあり、相棒は3ランを被弾。二回1死一、二塁で救援した初球の直球を痛打され、右翼への適時二塁打。「抑えなきゃいけない。勝負の分かれ目でした」と、責任を背負った。
昨秋関東大会準々決勝。敗れた試合後、取材対応できないほど号泣した。小学生の頃も剛球を投じながら、ストライクが入らなければマウンドで泣いていたような投手だった。
だが、夢が目標となった時、意識が変わった。聖地へのチャンスが残り1回となった昨秋以降「プロになって結果を残すためにも、高校からやることがたくさんある」と気付いた。食事を考え、体重は100グラム単位で管理。ようやく最後の夏に切符をもぎとった。
熱望した寺島との投げ合い。148キロを計測した直球に加え、新球のシンカーも投入した。6回1/3を4安打無失点、7奪三振。「初回から投げ合いたかった」という思いはあるが、ライバルには笑顔で「絶対優勝してくれ」と声をかけた。
「どのマウンドより楽しかった」という聖地での戦いを終え「プロを目指してやっていきたい」と、次のステージを見据えた藤平。最後まで晴れやかな表情を変えなかった姿は、本物のエースに成長した証しだった。