明徳義塾の4強進出支えた、元プロの打撃コーチ
作新学院の優勝で幕を閉じた今年の夏の甲子園。同校の152キロ右腕・今井達也投手(3年)や、“ビッグ3”と称された横浜・藤平尚真投手(3年)、花咲徳栄・高橋昂也投手(3年)、履正社・寺島成輝投手(3年)が注目を集める中、馬淵史郎監督(60)が率いる明徳義塾も4強まで勝ち上がり、存在感を示した。
今年の明徳義塾は伝統の堅守に加え、嘉手納(沖縄)との3回戦で18安打を放つなど打線も活発だった。初戦敗退したセンバツからのチームの成長をコーチとして支えていたのが、かつてプロ野球・阪急などで活躍した島谷金二氏(71)だ。
島谷氏は今年2月に学生野球資格を回復。高知県在住ということもあって同校に招かれ、週2回のペースでナインに打撃指導を行っている。高松商から四国電力を経て1969年にプロ入り。中日、阪急で計14年間プレーし、通算1514安打、229本塁打、ベストナイン2度の実績を残した同氏の打撃理論には、馬淵監督も絶大な信頼を置いている。
今回の甲子園には開幕前からチームに帯同し、アドバイスを送った。練習グラウンドでは選手たちのスイングを眼光鋭く観察し、気づいたことがあればすぐに駆け寄って熱心に指導する姿が見られた。「相手ピッチャーに惑わされてはいけない。まずは自分の体の感覚とバットの動き合っていることが大事」。選手たちも集中してアドバイスに耳を傾けていた。
準決勝・作新学院戦で本塁打を放った2番・西村舜外野手(3年)は「甲子園で打ちたい、という気持ちが前に出すぎてバットが遠回りしていた。島谷コーチにそれを指摘され、スイングを修正してもらった」と話す。チームは作新学院・今井を打ち崩せず決勝進出を逃したが、多くの選手が島谷コーチへの感謝を口にしていた。
馬淵監督は試合後、「センバツは優勝します!攻撃型のチームでいきますよ。見といて下さい」と豪語した。島谷コーチと一緒に作り上げる新しい明徳打線に注目だ。(デイリースポーツ・浜村博文)