BFL兵庫・山川3回完全でドラフト候補名乗り“異色右腕”を阪神など7球団視察
高校球児の憧れは甲子園、大学野球の聖地は神宮-。そこを目指さなかった右腕が今、ドラフト候補に急浮上している。関西を中心とした独立リーグ「ベースボール・ファースト・リーグ」の兵庫ブルーサンダーズに所属する山川和大投手(21)。15日に行われた姫路Go To WORLD戦には、阪神、巨人など7球団のスカウトが視察に訪れた。
身長168センチながら、最大限に体を駆使して勢いよく右腕を振り抜く。巨人・山下スカウト部長は「投げっぷりがいい。楽天の美馬みたい。ボールの強さがある」と評した。姫路戦で先発し、3回を完全投球で5奪三振。教育実習の準備のため約1カ月ぶりの実戦だったが「躍動感のある投球ができた」と直球の最速は146キロを計測した。
アベレージでも常時140キロ台中盤を計測しており、8月のリーグ戦ではスカウトの前で自身最速となる152キロを連発したという。威力ある直球に加え、キレのある縦のスライダーを織り交ぜることで今季、リーグ戦で47回を投げて68奪三振。与四球はわずかに5個で、防御率0・57と圧倒的な成績を残している。今秋のドラフトで指名解禁となり「プロに行きたい。プロに行くと思ってこの1年間、やってきた」と山川は力を込める。
その経歴は他のドラフト候補とは異なる。野球を始めた小2から芦屋学園高校まで軟式野球に取り組み、一度も本格的に硬球を握ったことがなかった。高校時代に甲子園を目指すことなく、芦屋大へ進学。同大学には全日本大学野球連盟に所属する硬式野球部がないため、「硬式をやるかどうか迷った」という。それでも教育連携する兵庫ブルーサンダーズの練習を見学して入団を決断。1年目は内野手だったが、2年目から本格的に投手に専念した。
その年、オリックスとの交流戦で146キロを計測。去年は151キロまで球速が伸び、ドラフトイヤーとなる今年、152キロを計測した。まだ投手を初めて3年足らずだが、一度も肩肘の故障歴がなく、順調にステップアップを果たしてきた。
大学野球の聖地と称される神宮のグラウンドには立てない。「それも知った上で、ここでやらせてもらいたいと思いました」と山川は語る。「後輩にも希望を与えられるように」と自身と同じく、甲子園、神宮を目指せなくてもプロの世界へ飛び込める-。ドラフト候補に浮上してきた右腕が、10月20日、運命の日までアピールを続ける。