寺島、藤平、高橋、今井…大豊作の高校生投手 ドラ1指名4人なら7年ぶり

 プロ志望届の提出が始まり、ドラフト戦線が佳境を迎えている。大学生は秋季リーグ戦の真っただ中。一方で、公式戦が終わった高校生は評価が固まった。10月上旬に国体に出場するチームもあるが、ケガのチェック程度。大勢に影響はない。

 今年の傾向は、高校生投手に逸材がそろったこと。その筆頭格が、高校日本代表にも選出された4投手だ。

 もっとも即戦力としての評価が高いのが、履正社・寺島成輝投手。最速150キロを計測するが、最大の長所はさまざまな球種と球速でピンポイントのコースを突ける制球力、相手との力関係や試合状況で力の入れ具合を変えられる投球術だ。パ球団のスカウトは「左腕ではアマナンバーワン。彼の場合は、大学・社会人と同じ対象として考えないといけない」と、総合力が高校生離れしていると話していた。

 身体能力では、横浜・藤平尚真投手。186センチ、83キロの体格。なおかつ、中学3年時に陸上の走り高跳びでジュニア五輪優勝のバネを備える。自己ベストは2メートル1センチというから驚きだ。トレーニングにも熱心な右腕は、152キロの最速もまだ伸びそう。甲子園期間中に習得したシンカーをいきなり投入する器用さ、名門・横浜仕込みのフィールディング技術も高い。プロ側からは「将来性は藤平かな」「腕の振りは高校生では一番でしょう」という声が上がっている。

 花咲徳栄・高橋昂也投手は、最速152キロの圧倒的な球威が魅力。パンパンに鍛え上げられた太ももと尻まわりは、高校日本代表の中でも抜きんでていた。それでいて、ペタリと股割りができる柔軟性もある。今夏は安定感を求めて減らしていたフォークは、三振を量産できるウイニングショット。リリーフ適性もありそうな左腕を「速いだけじゃなく、球が重い」「真ん中あたりの真っすぐで空振りが取れる」と、スカウト陣は称賛する。

 夏の甲子園開幕まで“BIG3”と称されていた彼らの中に、一気に割って入ったのが、作新学院・今井達也投手。全5試合で150キロ超えを果たして甲子園V。スピンのかかった直球は低めでも伸びる。高校日本代表の壮行試合では、大学日本代表を相手に2回で4者連続を含む5三振を奪った右腕は、スカウト陣をして「直球の質は1軍レベル」「肘の柔らかさ、フォームが素晴らしい」「1位競合もある」と言わしめた。身長180センチ、体重が70キロ台前半という線の細さはあるが、プロのトレーニングを積んで体ができれば…という伸びしろの裏返しでもある。

 取材したスカウト陣の声を総合すると、即戦力としての寺島、それに近い形で高橋、将来的なスケール感で藤平、今井というところ。各球団で好みは分かれるだろうが、最終的にはそろって1位指名されるだろう。ちなみに、高校生投手4人が1位となれば、09年の西武・菊池雄星(花巻東)、広島・今村猛(清峰)、中日・岡田俊哉(智弁和歌山)、日本ハム・中村勝(春日部共栄)以来7年ぶり。それ以前では、ダイエー・寺原隼人(日南学園)、広島・大竹寛(浦和学院)ら5人が指名された01年にまでさかのぼる(05~07年の高校、大学・社会人分離ドラフトはのぞく。球団は指名時)。

 4人以外にも、北海道の最速154キロ左腕・古谷優人(江陵)、キレ味抜群のスライダーで高校日本代表でも活躍した広島新庄の左腕・堀瑞輝投手、同じく高校日本代表の153キロ右腕・島孝明投手(東海大市原望洋)らが上位候補に名を連ねる。

 夏以降「今年は本当に高校生にいい投手が多い」と話すスカウト陣の声を何度も聞いた。今ドラフトでは、創価大・田中正義投手が一番人気になるのは確実だが、“一本釣り”や将来性を重視して高校生にシフトする球団も少なくないはず。運命の日は10月20日。多くの球児の笑顔が見られることを願いたい。(デイリースポーツ・藤田昌央)

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