育てて勝つ…4年ぶり優勝の日本ハムとセ王者・広島の共通点
「西武0-1日本ハム」(28日、西武プリンスドーム)
4年ぶりにパ・リーグを制した日本ハムと、25年ぶりにセ・リーグ優勝を果たした広島。共通点はFA補強に頼らず、自前の選手を育てて勝ったという点だ。
日本ハムは過去、FA選手を獲得したのは稲葉(現球団SCO)のみ(広島はFA補強ゼロ)。逆に近年では2013年オフに捕手の鶴岡(ソフトバンク)、2014年オフに内野手の大引(ヤクルト)、小谷野(オリックス)が流出している。それでも次々と若手が台頭し、チームの中心選手に育っていった。
大きな特徴は、野手のレギュラーの多くが高卒選手で占められている点だ。主な選手では中田(大阪桐蔭)、田中賢(東福岡)、中島(福岡工)、陽岱鋼(福岡第一)、西川(智弁和歌山)、近藤(横浜)が高卒選手だ。
支配下選手は12球団最少の65人。育成選手は獲らない。ソフトバンクが支配下選手68人、育成選手19人の計87人を擁するのとは対照的だ。選手数を絞り、2軍で多くの出場機会を与える。強化指定選手は、重点的に試合で使う。こうした環境の中で、選手は育っていった。
さらに選手を生かすためのコンバートにも積極的だ。一塁の中田は外野を、主に左翼を守る西川は内野を経験している。近藤は捕手登録ながら、2014年は三塁、そして今季は右翼を守っている。
育成の極めつけは大谷だろう。2012年秋、花巻東で注目を集めた右腕はメジャー希望を表明。しかし日本ハムはドラフト会議で敢然と1位指名した。「その年の一番いい選手を1位で指名する」という方針を貫いた。そして前代未聞の二刀流育成プランを提示し、大谷の気持ちを揺さぶり、入団にこぎ着けた。
前例のないプロでの二刀流には、誰もが懐疑的だった。しかしフロント、現場が一体となり、段階を踏んで大谷の素質を開花させていった。投げては4年間で通算39勝。今季はプロ野球最速164キロを記録し、10勝をマークした。打っては今季、打率3割を超え、22本塁打をマーク。二刀流に異論を挟む余地がない成績を残した。
通算7度目のリーグ制覇だが、本拠地を北海道に移し、本格的に改革に着手した2004年以降では5度目。球団の確固たる方針が選手の力を最大限に引き出し、大きな実を結んだ。