日本ハム大谷1安打15K完封で奇跡V導いた!栗山監督へ「誓いの手紙」約束守った
「西武0-1日本ハム」(28日、西武プリンスドーム)
日本ハム・大谷で決めた。マジック1で迎えた日本ハムは、大谷翔平投手(22)が9回1安打無失点、15奪三振の今季初完封で、4年ぶりのリーグ優勝を決めた。絶対王者を打ち破り、142試合目で上り詰めた頂点。最大11・5ゲーム差をひっくり返した奇跡の逆転V。二刀流右腕がその中心で輝いた。
大谷が両腕を天に突き上げた。これまでの野球人生で無縁だった優勝。思い焦がれたこの瞬間。胴上げ投手になった二刀流は思いきりほえ、女房役の大野と力いっぱい抱き合った。
「うれしいです。こみ上げてくるものがありましたけど、冷静にいけました。一人一人しっかり投げ切れてよかったです」
やはり怪物だ。優勝を決める大一番で今季初完封。わずか1安打の快投を演じ、剛腕で15三振を奪い、西武打線をねじ伏せた。
中学時代からの憧れでもあり、目標にしていた花巻東の先輩・菊池との投げ合いが潜在能力を引き出した。「最高のシチュエーションで楽しく投げられました」。初回から安定感抜群の投球。最速159キロの直球、スライダーを主体に五回1死までパーフェクト投球を披露した。
プロ4年目の今季。二刀流・大谷翔平を世間に認めてもらうため、過去最高成績を残すと誓ったシーズンだった。昨季は投手三冠に輝きながら、打者としては打率・202と低迷。投手一本を勧める声もあった。荒ぶる魂に新たな火が付いた。
初体験の米アリゾナキャンプでの出来事。二刀流の元祖、ベーブ・ルースの誕生日の2月6日、栗山監督にキャンプ施設のGM室に呼ばれた。そこで開幕投手を告げられると同時に、白紙の便せんを手渡された。
「今、ここで俺に手紙を書け」。初の開幕投手に指名された1年前は、シーズンへの期待が書かれた手紙を渡され、ゲキを飛ばされただけだった。思いもよらぬ行動に大谷も驚いた。その狙いを指揮官は「自分で自分の約束を破るほど、くだらないことはない。今年やると決めたこと、俺はこうするんだ、という目標を書いてほしかった」と説明する。
大谷は今季の誓いを素直に書きつづった。
「投手として、野手として、これまで以上の成績を残します。優勝に貢献します」。誓約書を記し、キャンプの投手練習中の昼休みに打撃練習を行うなど必死に振ってきた。投打両方で結果を残すと改めて誓った瞬間だった。
「これまで一度も優勝したことがない。そこが問題」が口癖だった。6月24日。ソフトバンクと最大11・5ゲーム差に開いたが諦めなかった。同19日・中日戦から球団新記録の15連勝で猛追。この間、投手として3勝。野手として18打数7安打、打率・389、1本塁打。逆転Vへのうねりを作った。
3年連続2桁勝利。10勝&20本塁打は史上初の金字塔で、10勝&100安打も、49年の野口二郎(阪急)以来となる史上4人目の快挙だ。
開幕から一挙一動にメジャー球団の熱視線を浴びた。それでも「成長段階のレベルはまだまだです」と自己評価する。もう少し日本での修業が必要だと、来季も日本ハムでのプレーが決定的だ。人生の一つの目標、優勝は成し遂げた。次は日本ハムを常勝チームに。投打で世界一を目指す大谷は歩みを止めない。