甲子園で終わりじゃない!秋に評価上げる高校生
夏の甲子園が高校生の集大成-。そう思われがちだが、10月20日にドラフト会議を控える候補生たちは、そうではない。夏が終わっても秋にかけて評価を上げる選手がいる。その最たる例が、広島新庄の堀瑞輝投手(3年)だ。
夏の甲子園では16強へ進出。キレのいい直球とスライダーに一定の評価は集まったが、初戦で球数を要したように、制球力に課題が残っていた。体格的にもプロでやっていけるか-。この時点で各スカウトの予想は2~3位ラインで消えるという判断。だが優勝したU-18アジア選手権、そして国体でその価値は着実に上がった。
初の国際大会ではリリーフで抜群の適性を見せ、国体では自己最速を更新する150キロを計測。2回戦と準決勝のダブルヘッダーでは先発、リリーフで1日2試合登板を果たすなど、驚異的なスタミナを見せた。複数のスカウトが「1位12人の頭数を考えれば、チームのニーズにもよるだろうけど入ってきてもおかしくない。2位までの24人には入るだろう」とシミュレーションをしている。
そしてもう1人、日本代表や国体に出場しなくても評価を上げている選手がいる。昨年の神宮大会で150キロを計測し、一気にドラフト候補として注目を集めた大阪桐蔭・高山優希投手(3年)だ。今春のセンバツと夏は腰痛に悩まされ、結果を残すことはできなかった。だが夏が終わっても新チームに混じって練習を続け、9月下旬には本来の球威が復活していた。
パ・リーグ2球団のスカウトが複数態勢で視察する中、ブルペンで力強いボールを放った。直球は常時、140キロ台中盤を計測し、コーチからの「ちょっと力を入れてみようか」というかけ声を合図に、腕の振りはパワーアップ。最速147~9を連続してたたき出し、視察していたスカウトを感嘆させた。
体も一回り大きくなり「今は体重が80キロになりました」と明かした高山。夏まで線が細かった印象をぬぐえなかったが、たった2カ月で力強さを感じさせる体形になった。
2人の共通点は引退してもしっかり練習を続けていたこと。堀に関しては迫田監督が「代表から帰ってきたその日から練習していた。休めばいいと思ったんですけど…。投球練習も毎日やっています」と明かす。「帰ってきた日にランニングして、翌日くらいから長目の距離でキャッチボールをしていた」と堀。制球力に関しても「こういう投げ方をすれば、ここに行くだろうなという感覚が分かるようになってきた」と言う。
ドラフト会議まで2週間を切った。スカウトは直前まで候補のチェックを怠らない。堀、高山だけでなく本番で予想以上の順位で指名された高校生がいれば-。この秋に急成長した選手かもしれない。(デイリースポーツ・重松健三)