東山・足立監督、就任1年未満で古豪復活果たす 京都大会決勝で完封勝ち

決勝戦後、優勝監督インタビューを受ける東山・足立景司監督=わかさスタジアム京都
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 「秋季高校野球京都大会・決勝、東山2-0京都翔英」(9日・わかさスタジアム京都)

 日米でリリーフ投手として活躍した岡島秀樹投手が93年に出場して以来、24年ぶりのセンバツ出場を目指す東山が、3季連続優勝を狙った京都翔英を完封で下した。チームを導いたのは今年4月に就任したばかりの足立景司監督(25)。温故知新の練習メニューを選手たちに課し、見事に古豪を復活させた。

 「7、8点の勝負だよと試合前には言ってたんですが、予想外でした。無失点で勝ったのは新チームになって初めてなので」と笑みを浮かべた足立監督。今夏の甲子園に出場した京都翔英と序盤からがっぷり四つに組んだ。中盤には送りバントが併殺打になるなど流れが変わりそうなシーンもあったが、選手たちに動揺は見られなかった。

 得点圏に走者を送りながら得点できなくても、準決勝に続く無失策で主導権を渡さなかった。それこそが今年4月、足立監督が目指した野球。「精神的に大人になれと。一喜一憂するのではなく、ミスしても決して下を向くなと選手たちには言ってきた」と明かす。

 練習ではメンタルトレーニングとして(1)体力的な走り込み、振り込みによる精神強化(2)黙想、合唱などを導入した精神統一(3)校歌を最大限に大きな声で歌うなどの感情表現を重要視してきた。振り込みは1日1000スイング。練習開始前、3秒に1回を設定し、400本の素振りを行ってからウォーミングアップに入るという。

 「時代としては古いと言われるかもしれないけど、体調を管理した上で走り込む、振り込むことで精神的な強さが生まれる」と指揮官。さらに「野球はチームスポーツですから。プレーするのは個人ですけど、その結果をチーム全体で喜ぶことが大事だと思います」と力を込める。

 「どんな状況でもあきらめない姿勢を持つ。最後まで攻める姿勢を貫いてくれた」と選手の奮闘に目を細めた足立監督。八回、2死一塁から田中将人内野手(2年)が左翼席に決勝2ランを放つと、ベンチはお祭り騒ぎになった。守りでも勢いと一体感を抱かせ、一度も主導権を渡さずに京都翔英を押し切った東山。福知山成美、龍谷大平安、そして京都翔英と京都で名を馳せる競合を次々に撃破したチームの底力は本物だ。

 「まさか1年目で優勝できるなんて想像してませんでした」と足立監督は驚きの表情を浮かべる。同校OBで高校時代は140キロ左腕としてプロのスカウトからも注目された。立命大では肩と腰の故障で現役を断念し、学生コーチとして裏方に徹した。

 当時エースだった現ヤクルトの徳山が1人で黙々と走り込み、他人から隠れて練習する姿に感銘。技術だけでなく、メンタルや人間性の大切さを学び、高校野球の指導者を志した。卒業後は非常勤講師として採用され、昨年は系列の東山中学で「ルールも知らない中」サッカー部の顧問を務めた。

 今年4月から新監督に就任。まだ25歳と若い指揮官が、強豪ひしめく古都に新風を吹き込んだ。「自分たちの戦う姿勢を貫いて」-。22日からは和歌山で来春センバツ選考の重要な参考資料となる近畿大会が開幕する。岡島氏を擁して出場した1993年以来、27年ぶりとなる春の聖地へ、青年監督が挑む。

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