ラミDeNA「生きるか死ぬかの一戦」左手薬指骨折の梶谷決死ダイブで救った
「セCSファイナル・第3戦、広島0-3DeNA」(14日、マツダスタジアム)
セ・リーグはDeNAが3-0の完封勝利を飾った。
ただ純粋に、白球だけを追った。八回2死満塁の危機。右翼ファウルグラウンドに上がった飛球に、DeNA・梶谷隆幸外野手が身を投げ出してダイブした。フェンスに激突しながら、痛む左手でつかんだボールを意地で離さなかった。
「ボールしか見ていなかった。フェンスがどこにあるかも分からなかった」。無我夢中のプレーだった。10日のファーストSで受けた死球で、薬指の骨は折れている。「(患部を)下に突いたっす」と苦笑い。その痛みは、自分でグラブを外せないほどだった。
打撃でも大きな一打を放った。2点リードの五回、目の前で筒香が歩かされて迎えた2死一、三塁。「両手で振ってやろうと思って、ちょっと気合を入れていきました」。右前適時打で貴重な追加点を奪った。
打球を捉える衝撃で激痛が走る。それまで打った瞬間に離していた左手は、バットを握ったままだった。「(左手が)何とかついていってくれた」と殊勲打を振り返った。
崖っぷちで臨んだ一戦。ラミレス監督は「生きるか死ぬかの一戦」と位置づけ、「選手たちと死ぬつもりでいる」と“死”という言葉を2回使って表現した。まさに死闘だった。
八回は無死一塁から石川が一塁フェンスに古傷を抱える右肘を打ち付けながら、ダイビングキャッチ。ラミレス監督は「勝つためにみんな戦ってくれた。自分を犠牲にするプレー。大きな1勝だった」と闘志を表に出した選手たちを称えた。
「勝てるだけの力があると感じた。明日もう1試合勝ちに行きたい」。指揮官は1つ1つ積み上げる勝利の先に“成り上がり”があることを確信。梶谷は「もう(骨が)折れていますから。次、折れてもどうってことない。腹をくくって、あとは根性。気力で勝ちます」。崖っぷちでつかんだ白星。勝負はこれからだ。