上宮太子がチーム本塁打ゼロで大阪の頂点に

 「秋季高校野球大阪大会・決勝、上宮太子10-3履正社」(16日、舞洲ベースボールスタジアム)

 上宮太子が履正社を圧倒し、センバツに関わる秋季大会では、巨人・亀井を擁した1999年以来、17年ぶり2度目の優勝を果たした。決勝までの8試合で71得点をマークした強力打線だが、チーム本塁打はゼロ。日野監督は「本塁打は無いです。長打力がないのは自分たちでも分かっているので」と明かす。

 決勝戦でもその力はいかんなく発揮された。二回、2四球で2死一、二塁の好機を作ると、そこから怒とうの5者連続タイムリーで一挙5点を先制した。

 いずれもシングルヒットで、各打者がコンパクトなスイングで確実にヒットゾーンへ打ち返した。続く三回も押し出し四球、内野ゴロ間、左前2点打など長打が出なくても着実に得点を重ねた上宮太子打線。指揮官は「自分たちで長打力がないことを分かった上で、大振りをしない。この大会を通じて選手たちが成長してくれた」と指揮官は目を細める。

 確かに身長180センチを越えるような大柄な選手はオーダーに見当たらない。ガッシリ体形で目を引くようなスラッガーもいない。それでも各打者が打席の中であらゆるボールに対応し、甘くなったボールを確実に仕留める-。その技術はたゆまぬ練習から生まれた。

 「日頃から低く強い打球を打っていこう」という日野監督の指示を全員が実践。2打席連続タイムリーの中山泰斗主将(2年)は「長打を狙わず、つなぐ意識を持っていった。ホームランが出なくても、こういう結果になったことがうれしい」と笑みを浮かべる。

 決勝戦前には選手たちが自発的に打撃練習を行っていたという。午前7時前からグラウンドに打球音が響き「練習したから打てるという自信になった。一つのことに集中して練習してきたことが良かったかなと思います」と中山。正式な記録が残っていないため断言はできないが、金属バット導入後、激戦区の大阪をノーアーチで勝ち上がったのはかなりのレアケースとみられる。

 「みんな履正社が勝つと思っている中で、自分たちの力を見せるには申し分ない」と意気込み、決勝戦へ臨んだ上宮太子ナイン。ホームランが出なくても勝てる-。その思いを確信へと変え、17年ぶりのセンバツを目指し22日からの近畿大会へ臨む。

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