パナソニックが8強進出 ドラフト指名漏れの北出が好救援
「社会人野球日本選手権・2回戦、パナソニック2-1富士重工」(4日、京セラドーム大阪)
パナソニックが富士重工を逆転で下し、2大会ぶりに8強へ進出した。1点リードの九回1死二塁からリリーフ登板した北出浩喜投手(23・愛知工大)が1四球を与えたものの、連続三振で試合を締めた。今秋ドラフトで指名漏れした右腕が、悔しさをバネに意地の投球を見せた。
九回1死二塁となったところで、梶原監督がボールを持ってマウンドに歩み寄った。交代が告げられ、ベンチから全力疾走で飛び出してきた北出。「藤井さんが好投していたので、勝つためにゼロで抑えるのが僕の仕事」。その集中力は極限に達していた。
先頭打者こそ厳しいコースを攻めたが判定で嫌われての四球。「とにかくコースだけ間違わないように」。2死一、二塁から内角直球でファウルを打たせ、最後はフォークで空振り三振。続く打者も同じように内角直球でファウルと打たせてカウントを稼ぎ、落差の増したフォークで空を切らせた。
今秋のドラフトで指名が有力視されていた右腕。6球団と面談を行ったが、最後までその名が呼ばれることはなかった。「悔しいと言うか、その日はショックでした」と北出。それでも「プロでやることがすべてではない。長く野球をやるために(大学時代に)手術をしたので」と言う。
「また1年しっかりやっていければ、プロから声もかかると思いますし。プロだけのことを考えていたら、チームにいい影響を与えない。来年もチームのために投げて、同時に自分も成長していきたい」と力を込めた北出。まだ23歳の右腕には、大きな可能性が残されている。