野村“僕流”OK!2年目で異例の特権
「広島春季キャンプ」(3日、日南)
野村祐輔投手(23)が、開幕までの調整プランに関し、野村監督から“オレ流”ならぬ“僕流”を容認されたことを明かした。昨季の新人王右腕とはいえ、2年目にして異例の特権だ。この日、ブルペン入りして41球を投げたが、全投手陣の中で唯一、まだ捕手を立たせたままだった。チーム“最遅”も焦ることなく、責任感を持ち開幕に合わせる。
10球、20球、30球と投げるたび、徐々に力強い投球が捕手のミットを打った。いつ捕手は座るのか、周囲は見守り、準備は整ったかに見えた。だが、野村の今キャンプ2度目のブルペン入りも最後まで捕手を立たせたまま。41球を投じて終わった。
「そこそこ指にかかる球も増えてきたので、いい状態と思います。きょうは立ち投げだけと最初から決めてました」。この日は大竹、初ブルペン入りした新外国人のソコロビッチが捕手を座らせた。例年ならスロー調整の前田健もWBCがあり今季は超速。今キャンプでは野村がチーム“最遅男”を襲名した。
それでも「焦りはない。自分のペースでと思っている」と涼しい顔。「角度のある球が立ち投げで出てこないうちは(捕手を)座らせても意味がない」と、あくまでマイペースは崩さぬ考えだ。
“僕流”は首脳陣の信頼と容認によるものだ。キャンプ初日のブルペンで、野村監督から「開幕まであと2カ月、どういうプランで自分が過ごすか考えておけよ」と伝えられた。開幕まで紅白戦、オープン戦登板の日程、イニング数など開幕から逆算し、野村自身に一任されたのだ。
古沢投手コーチも言う。「焦るな、というふうには伝えている。開幕まで合わせてくれる。その辺は心配していない」。昨季は新人では46年ぶり1点台となる防御率1・98。1年間、ほぼローテを守り9勝を挙げ、新人王に輝いた。
とはいえ、前田健でさえ沢村賞を獲得する前、10年の春季キャンプはまだチーム方針に従い、初日にブルペンに入るなどした。不動のローテとしての特権を野村は2年目で手にしたことになる。
もちろん結果が求められる。「責任ということですね。今後の体の状態次第でプランを決めないといけない」。第2クール中には開幕までの青写真を描くつもりだ。
新人の昨季は調整が遅れ、2月28日に初実戦となる紅白戦に臨んだ。「去年よりは早いですが、今年も多分僕が一番遅いと思いますよ」と余裕の笑み。2年目のジンクスは、野村に無縁だ。