野村祐が変身!ワイルドだぜぇ~
「広島春季キャンプ」(15日、日南)
広島・野村祐輔投手(23)が15日、ブルペン入りし、雄たけびを上げながら全力全開の59球を投げた。新人王を獲得した昨季とは一転、豪快で荒々しいスタイルを解禁し、実戦モードへと仕上げた。初登板となる16日のシート打撃でも“ワイルド祐”の投入を予告した。
クールさが売りの精密機械が、荒武者に変ぼうした。「いやー!」「あやー!」。投げる度に野村の雄たけびがブルペンにこだまする。捕手を座らせた59球は、すべて直球。腕を全開に振り、自らにムチを入れる儀式のようだった。
「体にキレを出したかった。全部、10の力で投げました。今まではフォームの確認作業。これからはピッチング。全然違う。(調整の段階が)上がったということ」。16日には初めて打者相手となるシート打撃に登板する。ここまでじっくりマイペース調整を続けていたが、いよいよ実戦へとモードが切り替わった。
この日見せた豪快なスタイルこそ、今季のテーマだ。昨季は精密機械の異名を取る制球力で、防御率1・98。新人では46年ぶりに防御率1点台を成し遂げ、新人王にも輝いた。だが、かわす投球だけでは2年目は通用しないことは、十分に自身が分かっている。
「要所では力で抑えることも必要。思い切り腕を振ったのも、そういうのを意識してのもの。今年はそういうのを出していきたいし、あすのシートでも出すかもしれません」と、打者相手に“剛の野村”の封印を解く。
昨季は8月22日に9勝目を挙げたが、その後7試合で5連敗と失速し、2桁勝利に届かなかった。フルシーズン戦う肉体を手に入れるため、オフは明大時代に師事した都内のジム、トレーナー・アローズ代表の成瀬浩次トレーナーの下、徹底的に鍛え抜いた。
体重は2キロ増の82キロ。胸回りは3~4センチ増、臀部(でんぶ)回りも5センチ増とビルドアップに成功した。この日、成瀬氏は東京から日南まで足を運び、まな弟子を視察。「土台がしっかりしている」と目を細めた。
本人も実感がある。「去年とは全然違う。いつでも(実戦で)投げられる状態に仕上がってます」とキッパリ。「2月末にはオープン戦に投げたい。そこからはどんどんシーズンに向け投げていく」。前田健、今村が日本代表合宿で不在の中、“ワイルド祐”が鯉投の主役になる。